野菜に液体肥料と化成肥料を追肥する方法

1.野菜に追肥する理由と肥料成分のコツ

野菜の化成肥料と液体肥料

追肥(ついひ・おいごえ)とは、野菜栽培中の土の中に肥料を追加投入する作業のことをいいます。

追肥は園芸の専門用語です。追肥とは肥料の作業の言葉ですが、追肥という言葉が肥料のパッケージに書かれたオリジナルの商品のことを指し示しているのではないので間違えないでください。あくまで園芸用の言葉が肥料の袋に書かれています。

もし、追肥をしなかったら野菜の苗はどうなると思いますか?

追肥をしなかったら苗は大きく育たないので収穫できる野菜のサイズは小さくなりますし、運が悪いと苗の葉っぱが黄緑色に変化して次第に枯れてしまいます。

野菜のタネはタネまきをしてからタネが発芽するまでの間は特に肥料(栄養分)はいりませんが、タネが発芽して根が伸びだしてからは栄養分を必要とします。

土の中には初めから元肥(もとひ・もとごえ)といって有機質肥料や化成肥料が混ぜられており、元肥の栄養分は野菜の根から吸収され消費されたり水やりで流されたりするので、土の中の養分は次第に減っていきます。その結果、野菜が健全に生長するために必要な養分は不足する状態となっていきます。

そこで、野菜が枯れずに立派に生長する為には、追肥という作業を行い土の中に養分を補給して肥料不足を解消する必要がでてきます。

追肥は主に、N(窒素)、P(リン酸)、K(カリ)という肥料の3要素といわれている肥料成分を補います。

また、肥料成分は野菜の生長状況や野菜の種類に応じて次に説明するように調整してもらうと生長が良くなります。

野菜の生長初期時に適した追肥の肥料成分
N(窒素)、P(リン酸)、K(カリ)が同じ比率の肥料。いわゆる水平型と呼ばれる成分量の肥料。
比率の例:NーP-K=8-8-8
実が着き始めた実もの野菜に適した追肥の肥料成分
P(リン酸)が、N(窒素)やK(カリ)より多い肥料。いわゆる山型と呼ばれる成分量の肥料。
比率の例:NーP-K=8-10-8
葉もの野菜に適した追肥の肥料成分
P(リン酸)が、N(窒素)やK(カリ)より少ない肥料。いわゆる谷型と呼ばれる成分量の肥料。
比率の例:NーP-K=8-6-8
根もの野菜に適した追肥の肥料成分
P(リン酸)が、N(窒素)やK(カリ)より多い肥料。いわゆる山型と呼ばれる成分量の肥料。
比率の例:NーP-K=8-10-8

追肥に適した肥料とは

追肥とは、野菜の生長過程で不足した養分を土の中に補うことを目的に行いますので、肥料を与えたらすぐに効き目が現れる速効性が求められます。

ホームセンターで売られている肥料には、有機質肥料、化成肥料、液体肥料の3種類があります。

各肥料の特徴は、次のように、肥料を施してから早く効く肥料(速効性肥料)、緩やかに効く肥料(緩効性肥料)、遅く効く肥料(遅効性肥料)があります。

  • 液体肥料:効き目がとても早い肥料。液体肥料は速効性肥料に分類されています。
  • 化成肥料:効き目が早いものや効き目は早いが液体肥料よりも緩やかに効く肥料。化成肥料は速効性肥料や緩効性肥料に分類されています。
  • 有機質肥料:緩やかに効いたり効き目は遅いが長期間ゆっくり効く肥料。有機質肥料は緩効性肥料や遅効性肥料に分類されています。

このように肥料によって効き目の違いがあるので、土の中に追肥を行う際は効き目が早い液体肥料か化成肥料が適していると思います。

有機質肥料は効き目が現れるのが遅いので元肥として使うか、化成肥料と混ぜ合わせて追肥として使うのが適しています。

また、追肥で肥料を与える場所ですが、固体の肥料を使う場合は、土の表面にばら撒く方法と土を掘って土と肥料を混ぜる方法があります。

  • 葉もの野菜と根もの野菜:土の表面に撒く方法で施肥
  • 実もの野菜:土と混ぜる方法で施肥

このような使い方が適しています。

どの種類の肥料を使っても追肥という作業を行わないと野菜は大きく育たないので、追肥は必ず必要になる作業であるということを覚えておきましょう。

なお、有機質肥料と化成肥料との外見と臭いでの大まかな見分け方ですが、茶色っぽい色でペレット状で臭いがキツイのが有機質肥料、白色で粒状で臭いが気にならないのが化成肥料です。追肥用の肥料を購入する時はくれぐれも間違えないようにしてください。

追肥を行う時の注意点

たくさんの肥料を土に与えれば植物はすくすく育ってくれるのではないかと考える方がいると思いますが、肥料を与えすぎると肥やけという症状が現れ根っこに悪影響を与えるので止めてください。

また、茎や葉だけが大きく育っていくつるボケという症状も現れますので肝心な実がなかなか大きくならないなどの障害がでてくるようになります。

肥料は少なすぎても多すぎても野菜の生育が悪くなりますので、肥料を与えても良い適切な規定量と規定濃度を守りましょう。

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2.液体肥料を使った追肥の方法

液体肥料(液肥)は、固形ではなく液状の肥料のことで、化成肥料よりも肥料の効き始めるスピードに優れている速効性の肥料です。

しかしながら、肥料効果の持続性がとても短いので、どちらかというと畑に追肥するよりもプランターへの追肥に向いています。液体肥料の使い方は、原液のまま撒くのではなく、水で500~1000倍に薄めて撒かないといけないので薄める手間が掛かります。

↓野菜と果物に特化した液体肥料↓
野菜の液体肥料

↓液体肥料は水で薄めて規定濃度となるようにして使います↓
液体肥料を水で薄める

液体肥料の説明
液体肥料は、肥料効果(効き目)がすぐに現れますが、肥料の持続性は悪いので化成肥料よりも施肥する回数を増やさないと肥料切れになりやすいです。野菜が肥料切れで枯れそうだとか生長が悪いという時に液体肥料を使うと最大の力が発揮できます。
液体肥料を与える時期
タネまき後発芽してから2~3週間経過した頃や、苗の植えつけ後2~3週間経過した頃から、1~2週間に1回の頻度で水やりの代わりに与えます。
液体肥料を与える場所
液体肥料は葉にかけるのではなく野菜の根元の近や根元から少し離れた場所の土にかけてください。
液体肥料を与える量
ベジフル液肥の場合は、葉もの野菜、香辛野菜は、液体肥料の原液を1000倍(水1Lあたり液体肥料の原液1mL)に薄めて使います。
実もの野菜、根もの野菜は、液体肥料の原液を500倍(水1Lあたり液体肥料の原液2mL)に薄めて使います。

下記では、野菜の生育に大きな影響を与えるおすすめの液体肥料を紹介します。野菜作りで使う肥料の参考にしてみてください。

1.おすすめの液体肥料(コストパフォーマンス重視)

商品名:ハイポネックス 原液 800ml

液体肥料の原液を水で500~1000倍に薄めて使います。価格が安いがそこそこな性能を備え持っている液体肥料を探している方は試してみてはいかがでしょうか。液体肥料といえばハイポネックスというくらい有名な商品です。野菜以外の植物にも使用できます。

2.おすすめの液体肥料(バランス重視)

商品名:住友化学園芸 ベジフル液肥 480ml

液体肥料の原液を水で500~1000倍に薄めて使います。野菜とくだものに特化しているので元気にすくすく育っていきおいしい野菜が収穫できます。価格と性能のバランスが良い液体肥料を探している方は試してみてはいかがでしょうか。

3.おすすめの液体肥料(性能重視)

商品名:フローラ 天然植物活力液 HB-101 100cc

液体肥料の原液を水で1000~3000倍に薄めて使います。HB-101を野菜に使うと、生育は良くなり実着きと収穫量が上がると評判です。値段は高いですが性能面に優れているので、今年こそは家庭菜園を成功させたいと考えている方は一度試してみてはいかがでしょうか。植物全般に使用可能です。

4.おすすめの液体肥料(性能重視)

商品名:協和 ハイポニカ液体肥料 500ml(A・Bセット)

ハイポニカといえば土を使わない水耕栽培用の液体肥料として有名ですが、土耕栽培する場合でも使うことができます。土壌に撒く場合は、液体肥料のA・B液を水で1000倍に薄めて使います。ハイポニカを使うと、元気にすくすく育つと評判です。値段は高いですが性能面に優れているので、今年こそは家庭菜園を成功させたいと考えている方は一度試してみてはいかがでしょうか。植物全般に使用可能です。

 

3.化成肥料(粒状)を使った追肥の方法

化成肥料は小さな粒状の肥料なので液体肥料よりも手軽に使うことができ、液体肥料よりも肥料効果の持続性は長いので、畑への追肥でもプランターへの追肥でも適しています。

化成肥料の使い方は、粒のままの化成肥料を野菜の根元から少し離れた場所へ撒くか土の中へ混ぜ込んで使います。

化成肥料の他に化学肥料という言葉がありますが、化学肥料とは単一の肥料成分のみを含んでいる肥料に対して使う言葉です。

↓N-P-K=8-8-8で肥料成分の配合比率のバランスがよい化成肥料↓
野菜の化成肥料

↓化成肥料は与え過ぎると根を傷めますので注意してください。与えすぎると土も固くなっていきます。↓
スプーンを使って化成肥料を追肥する

化成肥料の説明
化成肥料は、肥料効果(効き目)はすぐに現れますが、液体肥料よりも持続性があり少しずつ溶けて1カ月くらい効果が持続する緩効性の肥料です。
化成肥料の種類は、普通化成・高度化成(粒が大きい程緩効性の特徴がある)、IB入り化成(緩効性肥料)、被覆肥料(緩効性肥料)などがあります。
化成肥料を与える時期
タネまき後に発芽してから2~3週間経過した頃や苗の植えつけ後2~3週間経過した頃から定期的に与えます。実もの野菜では初めの花が咲いた後に実が大きくなりだした頃からです。
化成肥料を与える場所
野菜の根元から少し離して根が伸びる先に根に触れないように土の表面全体に撒くか、土に穴を掘って土と混ぜ合わせます。
化成肥料を与える量
畑に追肥する場合は、1m2あたり約30gくらいが適量です。
プランターに追肥する場合は、1回あたりスプーン小さじ1~2杯くらいが適量です。

なお、液体肥料や化成肥料を使わずに有機質肥料にこだわってトマトなどの実もの野菜の実つきを良くしたい時は、骨粉入油かすのようなリン酸が強化されているN(窒素)よりP(リン酸)が多い肥料を与えると実はよく育ちます。

有機質肥料は有機物が有用微生物に分解されながらゆっくり肥料効果が現れるので、微生物が活性化して悪玉菌が減る、根が傷みにくい、ミネラルの補給ができる、アブラムシが付着しにくいなどの効果も期待できます。

家庭菜園の肥料に使う骨粉入油かす

下記では、初心者でも扱いやすいおすすめの化成肥料を紹介します。野菜作りで使う肥料の参考にしてみてください。

1.おすすめの化成肥料(コストパフォーマンス重視)

商品名:大宮グリーンサービス 化成肥料(国産) 8-8-8 5kg

成分の割合はN-P-K=8-8-8で栄養素がバランスよく配合されているので使いやすい化成肥料です。これといった性能面での強みはありませんが、価格が安いので畑などの広い栽培面積での野菜作りに適しています。

2.おすすめの化成肥料(バランス重視)

商品名:住友化学園芸 マイガーデン ベジフル 700g

有機質と肥料の3要素以外にマグネシウムのミネラル分も少し入っているので野菜に優しい化成肥料です。肥料の効き具合は緩効性、形状は粒状、畑やプランターへばら撒くだけの簡単作業なので初心者でも扱いやすいです。

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