庭を耕して中玉トマト(フルティカ)の育て方
広い市民農園を借りなくても自宅の庭先で家庭菜園を楽しむことができます。
デパートなどに売っている高級フルーツトマトといわれてる中玉トマトのフルティカの育て方を覚えて家庭菜園を始めてみませんか。
中玉トマトの苗の植え付けに適した季節は4~6月、収穫は6~9月です。フルティカという品種でなくても中玉トマトなら基本的に育て方は同じです。
自宅の庭の耕し方、苗の植え付け、追肥、収穫までの中玉トマト栽培で行う作業方法をわかりやすく解説しています。
目次
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1.中玉トマト(フルティカ)を育てる為の前準備
- トマトの体への効用
- βカロテン当量:540μg(可食部100gあたり)
-
トマトのβカロテンは基準値に達していませんが、1度に食べる量が多いので緑黄色野菜に分類されています。ビタミンCやカリウムが多く含まれていて、免疫力アップや血圧を下げる効果があります。
また、クエン酸も含まれているので疲労回復にも役立ちます。 - トマトの赤色はリコピンによるもので、リコピンには抗酸化作用があります。トマトは生のままサラダとして食べてもよく、加熱するとリコピンが多く体に吸収できるので炒めたり煮物にしたりして食べるのもいいです。
- 中玉トマト(フルティカ)の基本栽培情報
- 難易度:普通
- 野菜の分類:ナス科
- 日当たり:日なたが良い
- 栽培に適した時期:3~9月
- タネまき:3~4月(初心者の方はタネから育てるのは少し難しいです。)
- 苗の植付け時期:4~6月
- 収穫時期:6~9月
- 収穫量:100個くらい
- 連作障害:あり。同じ土では3年休む
- 肥料の効かせ方:肥料切れにならないように栽培全期間でこまめに与える
- 人工授粉:いらない。着果が悪い時はホルモン剤(トマトトーン)を散布してください
- コンパニオンプランツ:ニラ、バジル、パセリ
- 用意する主な資材
- 中玉トマトの苗:フルティカ、シンディースイート、レッドオーレという品種がおすすめです
- 肥料:肥料成分が8-8-8の化成肥料が使いやすいです
- 支柱:180cm以上の支柱を1~3本
- 誘引用のひも:枝を支柱に結びつける時に使います
- 園芸用ハサミ:実を収穫する時に使います
まず初めに、苗を庭に植え付ける前の準備として、庭を耕して野菜作りに適した土に改良しましょう。
こちらを参考にして作業を進めてください。
自宅の庭先ではなく小さな畑で本格的に野菜を作りたいとお考えの方は、タネ、苗、道具、資材が準備されているシェア畑のご利用がおすすめです。
2.苗を用意します
中玉トマトの苗はタネから育てることもできますし、ホームセンターの園芸コーナーやインターネットの通信販売などでも購入できます。
しかし、タネから育てると発芽温度が20~30℃と高く、温度管理や育苗に手間と時間(約2カ月間)がかかるので園芸店で苗を購入した方が発芽の失敗がないので簡単です。
もし、前年に中玉トマトなどのナス科の野菜を育てた同じ土で今年も育てる場合は、中玉トマトはナス科の野菜と連作をすると病気にかかりやすくなるので接ぎ木苗を購入しましょう。
中玉トマトの接ぎ木苗はこちらの楽天市場のショップからでも購入できます。
タネから育てようと考えている方は、こちらを参考にしてください。
苗を購入する場合は、こちらを参考にして良い苗を選んでください。
3.苗を庭へ植えつけます
暖かくなってきた5月上旬頃に苗をしっかりと耕した庭に植えつけます。
(植えつけに適した苗は、第1花房に花のつぼみがつき始めたものです。)
庭で育てる時は、中玉トマトの苗を植え付ける前までに必ず苦土石灰でpHを中和して、元肥の肥料を土に混ぜ合わせ土壌を整えてください。
苦土石灰は植え付け2週間前に1m2あたり150g(土の表面が薄ら白くなる程度)、堆肥は1m2あたり3kg、肥料は有機質肥料や化成肥料を1m2あたり120gくらいを目安とします。
植えつける時は、畝の高さは10cmくらい作り、株と株との間隔は30cm以上離してください。実生苗(自根苗)は深植えが適しており、接ぎ木苗は接ぎ木部分が埋まると接ぎ木の意味がなくなるので接ぎ木部分が埋まらないようにしてください。
植え付けが終わりましたら、たっぷりの量の水やりをしましょう。
植えつけ方法は、こちらに詳しく書いてありますので参考にしてください。
水やりは朝や昼が適していますが、特に時間帯を気にしなくても大丈夫です。土の表面が乾いている事に気が付いたら、その都度水を与えてください。トマトは乾燥した土壌を好む野菜ですが、水を与えていない日が続くと確実に枯れます。
日当たりの関係がありますが、
- 春は朝の時間帯
- 夏は朝から夕方の時間帯
に、水やりをしなければ野菜がしおれてしまうと思います。
但し、水やりの回数が多すぎたり長雨が続くと実が割れやすくなるので水の与えすぎには気をつけましょう。
また、地面にマルチフィルムを敷いていない場合は、わらや腐葉土などを地面に敷いて、雨が降った時の土のはね返りによる病原菌の感染予防や日差しによる土の乾燥を防ぐ対策を行うと、根の張りが良くなり丈夫な株に生長します。
4.支柱を立てて誘引します
中玉トマトは茎を上に伸ばして空中栽培する野菜なので支柱を立ててひもで誘引してください。
支柱の立て方は、支柱を真っ直ぐに数本立てるか、支柱を2本組で先端付近でクロスさせたものを数組作りクロスしたところに倒れないように横棒を入れます。支柱の長さは180cm以上の長いものがおすすめです。
※支柱は100円ショップでも購入できます。
茎を支柱に誘引する時は、ひもを8の字の形にして茎に食い込まないように、少し余裕を持たせて支柱と茎とを結びつけてください。
(誘引とは強風などで苗が倒れないようにする作業のことです。また、誘引をすると日当たりや風通しを改善できる効果もあります。)
もし、支柱の先端まで茎が伸びてしまった時は、それ以上の長さを支柱に誘引できないので茎の先端を切ってください。先端を切ることにより、今まで茎の先端の生長に使われた栄養分を実の生長に使うことができます。
5.整枝(わき芽かき)をします
わき芽とは、茎と葉のつけ根から伸びてくる若い芽のことです。
苗が生長していく過程で次から次へとわき芽が伸びてくるようになります。
第1花房のすぐ下のわき芽は、支柱1本仕立てにする場合はわき芽は伸ばさず、支柱2本仕立てにする場合はわき芽を1本伸ばし、支柱3本仕立てにする場合はわき芽を2本伸ばします。それ以外のわき芽は生長の妨げになるのですべて摘み取ってください。
わき芽を何本か伸ばすと実の収穫数が増えますが、わき芽の本数を多くし過ぎると実の方に栄養が回らなくなるので、最高でも2本までとします。中玉トマトは主枝と1~2本のわき芽を育てていき、不要なわき芽は早めに摘み取ってください。
↓1番初めに咲く花より下のわき芽を1本伸ばしているところ↓
↓わき芽かき前↓
↓わき芽かき後↓
6.追肥をします
苗を植えつけた後、花が咲いて結実して実が大きくなり始めた頃から定期的(2週間に1回)に肥料を与えます。
中玉トマトに与える肥料の量は1m2あたり30gで、肥料の種類は効き目が早い化成肥料を使ってください。実をより甘くしたい時は有機質肥料を少し与えると効果的です。
※特に第1花房の実が大きくなってきたら少し多めに肥料を与えましょう。
中玉トマトの草勢は葉の色で簡単に確認できます。葉が深緑色で大きく、ギザギザがなくなり丸くなったり、葉自体が丸まっている場合は肥料が多いのです。逆に、葉が黄緑色、葉が小さい場合は肥料が少ない状態です。様子を見ながら肥料を与えてください。
追肥をする方法は、マルチフィルムをめくるか野菜が植えつけてあるマルチフィルムの穴からスプーンなどを使って肥料をうねの脇にまいてください。
追肥をする方法は、こちらを参考にしてください。
肥料が効きすぎているかの判断は、こちらを参考にしてください。
おすすめの化成肥料
栄養素がN-P-K=8-8-8でバランスよく配合されているので使いやすい化成肥料。値段が安いので広い栽培面積での野菜作りに最適です。
大宮グリーンサービス 化成肥料(国産) 8-8-8 5kg
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7.花が咲きます
苗を植え付けてから1カ月くらい経過すると花が咲き始めます。
中玉トマトは1つの花に雌しべ(めしべ)と雄しべ(おしべ)を持った両性花なので、何もしなくても実が大きくなりますので、特に人工授粉する必要はありません。
もし、花が咲いても落花してしまう時は、次の原因が考えられます。適切に対処してください。
- 肥料は適切か?
肥料は多くても少なくてもいけません。 - 水やりは適切か?
土が湿りすぎても乾燥しすぎてもいけません。 - 8月などで極端に気温が高くないか?
気温が高すぎても低すぎてもよくありません。適切な気温が必要です。
その他の要因では、長雨が数日続いて日当たりが悪い時では落花しやすい傾向があります。
↓中玉トマトの花が咲いてから実が赤くなるまで1カ月以上かかります。
第1花房の花が咲いた時に気をつけること
苗を育て始めて、初めに咲く第1花房の花々は確実に着果させないと、第2花房以降の花は着果しにくくなり、茎だけが伸びていって実がつきにくくなるつるボケという症状になりやすくなります。
どうしても花が咲いても花が落ちてしまい実がつかないという方は、落花を防いで結実させるトマトトーンという薬剤を使用してください。
↓トマトトーンで着果に成功した中玉トマトの果実。
使い方はとても簡単で、1つの花房に花が5つくらい咲いた時に、花房全体かそれぞれの咲いた花に向けてトマトトーンを1回吹きかけるだけです。
↓花が咲いた後に落花なく結実した主枝の第1花房。
↓花が咲いた後に落花なく結実した主枝の第2花房。
このように、第1花房が結実してくれれば、第2花房は何もしなくても落花なく素直に結実してくれます。
順調に結実して病害虫の被害がない時に収穫できる中玉トマトの個数の目安としては、1房に10個程度実が着くので、主枝に5房結実させて50個、わき芽に5房結実させて50個、合計で1苗から100個の中玉トマトの収穫が可能となります。
庭での栽培はプランターとは違い土の量が多く根が広く張っているので、わき芽を3本くらい伸ばしても多少小さい実もできますが問題なく生長していきます。上手に育てることができれば合計で200個以上収穫することも可能です。
また、少しでも酸っぱくない中玉トマトを収穫したい方は、
- 日当たりが良い場所で育てる
- 肥料は化成肥料と有機質肥料の両方を使う
- 栽培後期の追肥では窒素成分は多く与えないようにする
- 水やりは1日2回以上与えない
- 結実後は色がしっかり変わるまで待つ
ことが重要なポイントとなります。
8.中玉トマトの害虫対策
中玉トマトの実が大きくなってきたら、いろいろな虫に食べられたり汁を吸われたりしますので害虫対策をしてください。
ある日、ふと中玉トマトの実を見ると穴が開いているものを発見するときがあると思います。実に穴が開いていたら、アオムシ類のオオタバコガという蛾の幼虫に食べられていますので他の実も確認してください。
そのままにしておくと、実をすべて穴だらけにされます。薬剤を撒くかピンセットでつまんで水を入れたペットボトルに入れて早めに駆除してください。
また、アオムシの他にもカメムシや蛾も寄ってきて汁を吸われて実が生長しなくなり収穫できなくなってしまうので注意しながら育ててください。
おすすめの薬剤についてはこちらを参考にしてください。
↓中玉トマトの実に穴が開いています。↓
↓中玉トマトを開けてみるとこんな虫が入っていました。オオタバコガの幼虫です。
↓中玉トマトは、オオタバコガの幼虫だけではなくコガネムシにも食べられます。
↓中玉トマトは、オオタバコガの幼虫やコガネムシの他に蛾にも汁を吸われます。
↓中玉トマトは、カメムシにも汁を吸われます。
↓中玉トマトは、さらにニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)にも食べられます。
9.収穫します
実もの野菜は収穫する時の熟度がとても大切です。緑色から赤色に完熟した実から収穫していってください。
中玉トマトは実が赤く成熟したら収穫する実もの野菜ですが、収穫が遅れ過熟な状態になると、実が割れたり、実がふにゃふにゃになり味が落ちるので気をつけましょう。
実を収穫する時は前日から水やりを少なくすると甘味がより強いトマトが収穫できます。
スーパーで購入するトマトは水っぽくて酸っぱい個体が多いですが、家庭菜園で作ったトマトは酸っぱくなくとても甘い個体が多いです。トマトが嫌いな人でも難なく食べられるので、普段味わえないくらいの甘いトマトをたくさん収穫してください。
トマトにはグルタミン酸といううま味成分が含まれており、特にタネの周辺のゼリー状にはグルタミン酸がたくさん詰まっています。
また、トマトの皮にはペルオキシダーゼという酵素があり、免疫力を高めます。トマトは皮を捨てたりせず健康の為に丸ごと食べましょう。
↓開花から1カ月以上かかって収穫に適した中玉トマト(フルティカ)の実の色に変化します↓
中玉トマトの実割れはどうして起こるの?
トマト(大玉、中玉、ミニ)は果肉と果実の皮は一緒に生長して大きくなっていきますが、ある大きさになると生長が止まり赤く成熟します。
成熟した後に雨が大量に降って中玉トマトが根から大量の水分を吸収すると果肉が膨らみますが、皮の生長は止まっているので皮にヒビが入ってしまいます。また、中玉トマトに長時間雨が直接当たっても皮にヒビが入り実割れが起こるので、赤く成熟した実は天気予報を確認して雨の日の前日には収穫を行った方がいいです。
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