野菜栽培で使う石灰質肥料の基礎知識

家庭菜園で石灰を使う主な理由

野菜栽培で使う石灰質肥料

ホームセンターの園芸売り場に行くと、土や肥料の棚に石灰(カルシウム)も置いてありますが、なぜ石灰が一緒の場所に置いてあるんだろうと不思議に思ったことはありませんか。

野菜などの植物を育てる際は、土や肥料と共に石灰も使うので置いてあるんです。

では、石灰を使う主な理由は何かというと、土壌のpH(ピーエイチ)を調整する為に使います。
※カルシウムは肥料の6要素の1つで、野菜の苗の根っこから吸収され生長する時にも使われているので不足していては困ります。

pHとは水素イオン濃度指数のことで、0~14までの値があり、

  • 7より大きい値はアルカリ性
  • 7は中性
  • 7より小さい値は酸性

となります。

日本は雨が多い国なので何も手入れをしていない荒れた土壌ではpHは酸性に傾いているので、多くの野菜が好むpH5.5~6.5の微酸性や弱酸性に調整してから野菜を栽培することが適しています。

酸性やアルカリ性という言葉は学生の時の理科の時間に勉強したと思いますが覚えていますか。

水溶液中では、水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)が関係していて、水素イオンが多いか少ないかで酸性かアルカリ性かがわかります。

酸性とは水溶液中に水酸化物イオンよりも水素イオンの方が多い状態のこと、アルカリ性とは水酸化物イオンよりも水素イオンの方が少ない状態のことを表しています。

野菜を育てる場所の土壌のpHの値を知りたい方は、土壌へたっぷりと水やりをした後に市販されている酸度計を土壌へ突き刺せば簡単にpH値がわかるので一度調べてみてください。

土壌のpHが酸性に傾く主な要因と対策方法

土壌のpHが酸性に傾く原因

土壌のpHが酸性に傾く要因は、

  • アルカリ性の物質が減ったため
  • 有機酸が増えたため
  • 硫酸や塩酸が多く含まれている化学肥料を使ったため
  • 窒素肥料を与え過ぎて硝酸が増えたため

というようにいくつか挙げられますので、それぞれの要因の対策方法についてみていきましょう。

アルカリ性の物質が減ったため
土壌中に蓄積していた苦土(マグネシウム)、石灰(カルシウム)、カリなどのアルカリ性の物質が大雨が降って流されたり、野菜の苗の根っこから吸収されたりして不足すると土壌のpHは低下して酸性に傾きます。
対策方法としては、苦土石灰を土壌に撒いて中和することです。
有機酸が増えたため
野菜の苗の根っこからは有機酸が排出されていて、土壌中に大量に蓄積すると土壌のpHは低下して酸性に傾きます。
対策方法としては、堆肥などを混ぜて地力を上げて土壌微生物に分解してもらいましょう。
硫酸や塩酸が多く含まれている化学肥料を使ったため
硫酸カリ(硫加)、硫安、塩化カリ、塩安などはホームセンターの園芸売り場で売られています。野菜の苗の根っこからカリや窒素の肥料成分の吸収は早く、野菜の生長に役に立つ化学肥料ですが、肥料成分が根っこから吸収された後には、根っこから吸収されにくい硫酸や塩酸などの物質が土壌中に残り、pHは低下して酸性に傾きます。
対策方法としては、硫酸カリ(硫加)、硫安、塩化カリ、塩安などを使わないようにしてください。
窒素肥料を与え過ぎて硝酸が増えたため
土壌に硝酸態窒素が蓄積すると土壌のpHは低下します。硝酸態窒素は陰イオンなので大雨が降ると流されやすく、カルシウムなどのアルカリ性の物質を道連れにして流される傾向があります。
対策方法としては、窒素成分が少ない肥料を施肥してください。

なお、硫酸カリ(硫加)、硫安、塩化カリ、塩安の他にも、一般的な化成肥料は、硫酸、塩酸、硝酸が使われており土壌は酸性になりやすいので過剰に与え過ぎないように気をつけてください。

雨よけの屋根がついた場所で野菜を育てる時の注意点

屋根がついていない場所で野菜を育てていれば、石灰分は大雨で流されて土壌に蓄積することはないのでpHは低くなり気にする必要はありませんが、ビニールなどで屋根を作った場所で野菜を育てていると石灰分は大雨で流されず土壌のpH値が高いままの状態が続くことがあるので注意してください。

pH値が高くなると、ホウ素、マンガン、亜鉛、鉄などの微量要素が欠乏して根から吸収できなくなってくるので野菜に適したpHで栽培するようにしてください。

土壌のpH値が高いまま維持しないようにする対策としては、ビニールなどで屋根を作っている場合は、ビニールを外して土壌を大雨に当てて石灰分を流すことです。

pHを下げる目的で、硫酸カリ(硫加)、硫安、塩化カリ、塩安を使うことがあり、その場合は、肥料成分が野菜の苗の根っこから吸収された後に硫酸や塩酸が残り土壌のpHは酸性に傾きますが、硫酸や塩酸はカルシウムやマグネシウムと結びついて、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどとなり土壌に蓄積するので気をつけてください。

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石灰質肥料の種類と特徴

苦土石灰と有機石灰

石灰質肥料には、生石灰、消石灰、苦土石灰の3種類があります。

最近人気が出てきた石灰は有機石灰といって貝殻を原料としたものがあります。また、石灰分は多くありませんが草木灰といって草や木を燃やした時の灰にも石灰としての効果があります。

それぞれの石灰は特徴が違うので使いやすい石灰を選ぶようにしてください。

生石灰(きせっかい)
生石灰は、酸化カルシウムが主成分で、アルカリ分を80%含んでおり、速効性を持っている特徴があります。
注意点としては、根を傷めるので、生石灰を撒いてから肥料を混ぜたり苗を植え付けるまでは2週間くらい寝かせてから行うことです。
生石灰はアルカリ分がとても強いので、酸性土壌のpHを短時間で大きく上昇させたい時に使うのが適しており、家庭菜園では使う機会は全くないと思います。
生石灰は1m当たり、約50g撒いて土と混ぜ合わせて使います。
消石灰(しょうせっかい)
消石灰は、水酸化カルシウムが主成分で、アルカリ分を60%含んでおり、早く効く特徴があります。
注意点としては、根を傷めやすいので、消石灰を撒いてから肥料を混ぜたり苗を植え付けるまでは2週間くらい寝かせてから行うことです。
消石灰は1m当たり、約100g撒いて土と混ぜ合わせて使います。
苦土石灰(くどせっかい)
苦土石灰は、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムが主成分で、アルカリ分を55%含んでおり、ゆっくりと効いていく特徴があります。
苦土石灰は家庭菜園で一般的に使われていますが、注意点としては、苦土石灰を撒いてから肥料を混ぜたり苗を植え付けるまでは1週間くらい寝かせてから行うことです。
苦土石灰は1m当たり、約150g撒いて土と混ぜ合わせて使います。
有機石灰(ゆうきせっかい)
有機石灰は、カキ、カニ、ホタテなどの殻を使った有機質石灰のことで、アルカリ分を約45%含んでおり、ゆっくりと効いていく特徴があります。
※アルカリ分が少ないので撒いたら寝かせる必要はなく、根を傷めないのですぐに苗の植え付けができます。
有機石灰は最近人気がある商品で、カルシウムを補う他にも微量要素(ホウ素、亜鉛、モリブデンなど)も補給でき、土壌微生物の働きを活発にさせて地力を上げる効果もありますが、アルカリ分が少ないので苦土石灰よりも多い量を撒く必要があります。
有機石灰は1m当たり、150~300g撒いて土と混ぜ合わせて使います。
野菜の栽培途中で土の上にばら撒いて微量要素を補給したり病原菌が増えないように予防したい時にも使うことはできます。
草木灰(そうもくばい)
草木灰は、草や木を燃やした時に出た灰のことで、主にカリや微量要素(鉄、亜鉛など)を補給する時に使いますが、石灰としても使うことはできます。
石灰として使う場合は、草灰のアルカリ分はほとんどなく、木灰のアルカリ分は20~30%しかないので大量に撒く必要があります。
また、微生物が活性化して地力を上げて病原菌が増えるのを抑える効果もあります。

家庭菜園では、苦土石灰又は有機石灰を使ってpHを調整することが普通です。庭での栽培ではそれぞれの石灰の量を守って撒いて土とよく混ぜ合わせ、プランター栽培では土の表面が薄ら白くなる程度に撒いて土とよく混ぜ合わせて使ってください。

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