小さな庭を耕して野菜作りに適した畑にする方法

庭を耕して野菜を作る

みなさんに質問です。自宅の庭先を畑にして野菜作りができるかできないかどちらだと思いますか?

答えは、自宅の庭先で野菜作りはできます。

自宅の庭先を畑にして野菜を育てられるようにするには、専門的な知識が必要で業者に頼まないとできないのでは、と考えている方はいませんか?

庭を畑にすることは肉体労働になってしまいますが、小さい面積の場所なら自分で作業してもとても簡単にできます。

庭を畑にする方法は、庭を耕した時に土の質を調べて野菜作りに適した土になるように、堆肥・腐葉土、石灰肥料、肥料を撒いて土壌改良をしてください。

目次

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1.小石がゴロゴロある小さな庭を畑にする手順

自宅の庭先で野菜を育てて自給自足な生活をしてみたいと思ったことはありませんか?

実は良い土と日当たりが良い場所があれば自宅の庭先の野菜作りは簡単にできます。

野菜作りに適した良い土の条件とは、

  • 排水性が良い
  • 通気性が良い
  • 水持ちが良い
  • 肥料もちが良い
  • 石などの異物がない

が挙げられます。

基本的には、畑にしたい場所を耕した後に石などの異物を取り除いて、土を改良(堆肥などの投入とpHの調整)して、肥料をまくだけの作業です。特に難しい知識は必要ありませんし、野菜は良い土と肥料と水があれば育ちます。

私は畳1枚にも満たないスペースを耕してミニトマトやキュウリなどを育てて家庭菜園をしていますが毎年枯れずに多収穫できています。

では、どのような場所が畑に適しているのかと言うと、太陽の光を多く浴びる日当たりが良い場所を畑にする事をおすすめします。

まずは、庭を耕して畑にする時に使う次のような菜園道具と肥料などの資材をそろえましょう。

  • くわやスコップなど
    (庭の土を掘る時に使います。)
  • ふるい
    (土と石を分ける時に使います。)
  • 堆肥や腐葉土など
    (庭の土の排水性・保水性を改良する為に使います。)
  • 苦土石灰
    (土の酸性度pHを調整する時に使います。)
  • 野菜用の肥料
    (野菜に栄養分を与える為に土に混ぜ合わせます。元肥には有機質肥料が適しています。)
  • マルチフィルム
    (マルチシートとも呼び、土の乾燥を抑えたり、雑草が生えないようにします。)

上記の6点は庭を耕して野菜を大きく育てる為の必要最低限となる資材です。

土づくりの良し悪しで数ヵ月後に大きく育った美味しい野菜が収穫できるかどうかを左右します。各資材の準備が整いましたら下記で説明している庭を畑にする手順を参考にして野菜作りに適した畑作りにチャレンジしてみてください。

2.畑にする場所をくわで耕します

庭を耕す

多くの野菜は日当たりが良い場所を好むので、できるだけ日が当たる場所を探してください。

庭先で畑にしたい場所をくわやスコップなどを使って、地面から30cm位の深さになるまで耕していきます。

庭先の土は宅地造成工事する時に押し固められているので固いですが耕せば軟らかくなります。

なお、野菜を育て始める時期は、1年の間で春(5月:主にトマトなどの実もの野菜)と秋(9月:主にキャベツなどの葉もの野菜、ダイコンなどの根もの野菜)の2回ありますので、その時期に間に合うように作業を行うのがいいと思います。

3.石と土をふるいを使って分離します

ふるいで石と土をわけます

ある程度深い位置まで掘り進んでいくと、たくさんの石が出てくると思います。

サイズが細かい石しか出てこなかった時はそのまま埋め戻しても構いませんが、ある程度サイズが大きい石が出てきた時は、ふるいを使って石と土を分離してください。

大きい石をそのまま埋め戻すと根の生長を阻害されるので必ず取り除いてください。

土と石を分離してじゃまになる物を取り除くことで作物の根が張りやすい土壌に生まれ変わります。

4.堆肥・腐葉土・用土をまきます

耕した庭の土の異物の除去が終わりましたら、次の土壌改良材や用土などの資材を撒いて耕した庭の土とよく混ぜ合わせ、野菜栽培に適した土質となるように改良します。

  • バーク堆肥、腐葉土、牛ふん堆肥などの土壌改良が目的の植物性・動物性の有機質
  • 赤玉土や黒土などの用土

各資材を撒く時に気をつけないといけないことは、庭の土質によって投入して混ぜ合わせる堆肥や用土の量を変えることです。

庭の土質は、主に砂質か粘土質のどちらかだと思います。庭の土を手で少し取り握ってみて、さらさらして崩れ落ちるものは砂質で排水性が良すぎて、崩れ落ちずに固まったままなら粘土質で排水性が悪い状態です。

畑にする場所の排水性などの土質を改善する為に、次のような割合で堆肥や用土を撒いてください。

庭の土壌が粘土質で排水性が悪い場合
畑の地表面積1m2(1平方メートル)あたりにつき、堆肥や腐葉土を2kg(5~10L)撒きます。
庭の土壌が砂質で排水性が良い場合
畑の地表面積1m2(1平方メートル)あたりにつき、堆肥や腐葉土を1kg(3Lくらい)、赤玉土や黒土を1kg(3Lくらい)撒きます。

なお、堆肥・腐葉土、各用土を撒く理由は次の通りです。

堆肥・腐葉土を撒く理由
植物は根から栄養分と空気を補給するので、土の排水性や通気性が悪いと空気が補給できなくなり枯れてしまいます。植物性の繊維質である堆肥・腐葉土の腐植の力で硬い土をふかふかにしたり微生物の働きを促進させる為に使用します。なお、完熟していない状態の堆肥や腐葉土を使うと病気や害虫の被害にあいやすくなるので気をつけてください。堆肥や腐葉土の代わりに無菌のバーミキュライトやピートモスを撒いても構いません。
赤玉土・黒土を撒く理由
庭の土の保水性を良くして水もちと肥料もちを改良します。赤玉土や黒土の代わりにバーミキュライトやピートモスを撒いても構いません。

土についての詳しい説明はこちらをみてください。

↓腐葉土は、土をふかふかにして排水性などを改善する役割をします↓
腐葉土

↓腐葉土・堆肥を混ぜ終わった後の状態。有機質が投入されると土が黒色になりました。野菜栽培を始める2週間前までに堆肥などの投入作業を完了させてください。↓
堆肥などの有機質を混ぜた後

<家庭菜園におすすめの腐葉土>

自然応用科学 天然 ふよう土 14L

<家庭菜園におすすめの堆肥>

自然応用科学 栽培名人 バーク堆肥 20L

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5.石灰肥料(苦土石灰)をまきます

家庭菜園で使う苦土石灰

日本の土壌は、通常何もしていない状態では空から降ってくる雨がカルシウムやマグネシウムを流してしまう影響で酸性に傾いているので、野菜が健康に育つように石灰肥料をまいて酸性度(pH)を調節します。

酸性度を花や雑草で見分ける場合は、たんぽぽ、クローバー、カタバミが生えていたら弱酸性、スギナが生えていたら強酸性の土です。

石灰をまくタイミングは、野菜の苗を植え付けたりタネをまく2週間前です。

家庭菜園で広く使われている石灰の種類としては、消石灰と苦土石灰の2種類があります。

  • 消石灰:生石灰に水を加えたもので水酸化カルシウムが主な成分です。アルカリ分が多く速効性があるのが特徴です。
  • 苦土石灰:ドロマイト鉱石を砕いたものや、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを混ぜたもので、マグネシウムとカルシウムの成分を含んでいます。アルカリ分は消石灰より少なく緩効性なのでゆっくり効き目が現れます。

どちらの種類の石灰をまいても構いませんが、ゆっくりした効き目がある苦土石灰の方が扱いやすいので、家庭菜園では苦土石灰をおすすめします。

畑にする為に耕した場所の地表面積1m2(1平方メートル)あたりにつき、苦土石灰を100~200g撒きます。
※苦土石灰を土と混ぜ合わせずにそのまま放置しておくと固まってしまいますので、撒いた後は土とよく混ぜ合わせてください。

土壌のpHが酸性になっていたら必ず石灰を撒いてください。野菜作りに適した一般的な酸性度(pH)の値はpH6.0~6.5くらいです。pH5.0でもダメですし、pH7.0でもダメです。pHは6.0付近に調整してください。

石灰をまく理由は、土壌を野菜作りに適した酸性度(pH)となるように中和させ、根っこから栄養分を障害なく効率よく吸収できるようにすることが主な目的ですが、土壌のカルシウム分が少なくなるとトマトやピーマンでは尻腐れ病という生理障害が起きるようになるので、カルシウム分の補給と土壌の消毒効果で病気にかかりにくくなることも期待できます。

なお、石灰はpHの値を高く(アルカリ性の方向へ傾ける)したい時に使いますが、pHの値を低くしたい場合はピートモスを土に混ぜ合わせるとpHは酸性の方向へ傾きます。

石灰と土の酸性度についての詳しい説明はこちらをみてください。

その他の石灰としては、カニ殻やカキ殻の天然素材を使った有機石灰という商品があります。有機石灰はカルシウムの他にもいろいろなミネラル分も補給できるので土壌改良が可能です。

↓カニやカキ殻が配合された天然素材の石灰↓
pHの調整とミネラル補給できる日清のすぐ植え石灰

<おすすめの苦土石灰>

商品名:朝日工業 ハイパワー苦土石灰 600g
説明:苦土と石灰成分の他に、ようりん、腐植酸、微量要素も含まれているので土壌改良ができます。おいしい野菜を育てるには土作りから始めましょう。

 

6.肥料をまきます

苦土石灰をまいてから1週間くらい経過したら、元肥とする肥料を撒きます。

元肥とする肥料としては、

  • 鶏ふん、油かす、骨粉、草木灰、ぼかし肥料などの動物性や植物性の有機質肥料
  • 緩効性の化成肥料(無機質肥料

などを撒いて耕した庭の土とよく混ぜ合わせ、野菜栽培に適した養分を含んだ土壌となるように調整します。

各肥料を撒く時に気をつけないといけないことは、肥料の3要素(窒素・リン酸・カリ)がどれか1つの成分だけに偏らないようにバランスよく投入することです。

畑にする場所の土の中に養分を蓄える為に、次のように肥料を撒いてください。

耕した庭に撒く肥料の量
畑の地表面積1m2(1平方メートル)あたりにつき、動物性や植物性の有機質肥料又は化成肥料を150~300g撒きます。

なお、各肥料を撒く理由は次の通りです。

有機質・無機質肥料を撒く理由
野菜は土壌中に栄養分がなければ大きく育たないので、肥料を適量まいて養分を補充する必要があります。有機質肥料を撒くと微生物の働きが活発になるので病害虫が少ない土壌にすることができます。

土の中の養分がどれか1つだけの成分で偏っていると野菜の生長が悪くなるので必ず肥料の成分のバランスを考えてください。

肥料についての詳しい説明はこちらをみてください。

↓有機質肥料は、野菜の根にやさしく微生物の働きを活発にさせます。↓
日清のぼかし肥料

<元肥に最適な有機質肥料>

自然応用科学 おいしい野菜の肥料 2kg

 

7.畝(うね)を作ります

畑に肥料を混ぜ合わせましたら、苗を植え付けたりタネをまく場所の地面の表面を、日当たりを考慮して南北方向に10~30cm程盛り上げて畝を作り水はけと通気性を調整します。

畝の高さは野菜によって異なり、特に、根もの野菜は高めにします。

  • 平畝:一般的な畝の高さは10cmくらいです。(トマト、キュウリ、インゲン、エダマメ、タマネギ、イチゴなど)
  • 高畝:水はけが悪い場所、根張りが大きい野菜、根もの野菜の栽培時は15~30cm盛り上げます。(ナス、ピーマン、キャベツ、ブッロコリー、ダイコン、ジャガイモ、サツマイモなど)

畝の幅の目安ですが、野菜と野菜との間の距離を30~40cmくらい空けて苗を植え付けていくので、畝の横幅は野菜を1列で植え付けていく場合は40cmくらい、2列で植え付けていく場合は70~80cmくらいが適しています。

畑の環境によっては、畝を作った後に、透明や黒色のマルチフィルムをかぶせて地面を覆ってください。

地面を資材で覆うことをマルチングといいます。マルチフィルムはの色は、透明や黒色の他には、緑色、白色、銀色などがありますが、一般的に使われている色は透明と黒色です。

  • 透明のマルチフィルム:地表に光を取り入れて、土の乾燥を防いで土の温度を上げることができます。主に、気温が低い冬や春の季節で使いますが雑草は生えやすいです。
  • 黒色のマルチフィルム:地表への光を遮断して、土の乾燥を防いだり、土の中の害虫を防いだり、雑草を生えにくくします。
  • 銀色のマルチフィルム:光を反射するのでアブラムシ対策用のマルチです。アブラムシはキラキラしたものにはよってこない習性があります。

このように、マルチフィルムで地面を覆うことによって、雑草が生えないようにする、冬や春先で気温が低い時に土の温度を上げる、真夏の土の乾燥を抑え湿度を保つといった効果により、根の生長が良くなり収穫量が増えたり、収穫期間が長くなったりします。

また、雨が降った時の土の跳ね返りによる病害を防いだり肥料が流されるのを抑えるという効果も期待できます。

マルチフィルムを固定する時は、マルチフィルムの端に土をかぶせたり、マルチ押さえという杭などを打ち込んで飛ばないようにしてください。

マルチフィルムを使わずに、稲わらやもみ殻を敷いたり、庭の雑草を刈った時の草を敷いたりしても同じような効果があります。

↓黒いビニールシートがマルチフィルムです↓
マルチフィルムをかぶせた後

ここまで説明してきました庭をくわで耕してからマルチフィルムで地面を覆うまでの一連の作業をすべて行えば、

  • 通気性・排水性・保水性・保肥性がある
  • 石が少ない
  • 根が張りやすい
  • 微生物の働きが活発
  • 地温を一定に保つ
  • 土の流出が少ない
  • 土の跳ね返りが少ない
  • 雑草が生えにくい

という土壌に生まれ変わり土壌改良は完了し庭に野菜のタネまき・苗を植えつける為の前準備ができ上がりました。

自分で庭先を耕すのは肉体労働で面倒くさいとお考えの方は、手ぶらで野菜作りが楽しめれるシェア畑がおすすめです。

庭の畑の土の準備が整いましたら、次は庭の畑に植え付ける野菜の苗やタネの準備を始めてください。野菜の苗やタネはホームセンターやインターネットショッピングの園芸店、その他ではタネのみなら100円ショップでも購入できます。

家庭菜園を成功させる為に野菜の苗やタネの基礎知識はこちらを参考にしてください。

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