土の酸性度pHの調べ方
野菜に適した土のpHとは
pH(ピーエイチ、またはペーハーと呼びます)とは、水素イオン濃度指数のことで、土がアルカリ性なのか中性なのか酸性なのかを表す尺度として野菜栽培では用いられています。
家の庭を利用して家庭菜園を行う時や去年使ったプランターの培養土を今年も使う時は、土壌の酸性度を事前に知っておいた方がいいと思います。
野菜を育てる時はpHの違いで野菜が育ちやすくなったり逆に育ちにくくなったりするので、土の酸性度がどのくらいの数値になっているのか知っておくことはとても重要です。
土壌のpHを調べてみて、もし、強い酸性(pHの値が低い)の方に傾いていたら、最悪の場合は野菜は根を傷めて栄養分が吸収できなくなり枯れてしまいます。
※大多数の野菜は、pH6.0~6.5の間の弱酸性で育ちやすくなる傾向があります。
では、土壌が強い酸性になると何がいけないのかというと、
- 微生物の働きが弱くなる
- アルミニウムやマンガンなどが過剰に溶けだして根を傷める
- リン酸肥料の吸収が悪くなる
という状況になるので、pHが適正の時と比べると野菜は健全には育たないことがわかります。
逆に土壌がアルカリ性に傾き過ぎていると微量要素の吸収が鈍くなるので、野菜作りに適した土のpHは酸性でもアルカリ性でもいけないのです。
つまり、pH6.0~6.5の値を大きく外れた状態で野菜を栽培すると生育が悪くなり失敗する確率が高くなるので気をつけましょう。
しかし、次のような一部の野菜は、
- pH6.5~7.0:ホウレンソウ、エダマメ、エンドウ、タマネギ、アスパラガス
- pH5.5~6.0:ジャガイモ、サツマイモ
というように、大多数の野菜がすくすく育つpHとは異なる値なので気をつけてください。
では、土壌のpHを簡単に適性値に調整する方法としては何をすればいいと思いますか?
それは、苦土石灰を撒いてカルシウムとマグネシウムを土壌中に補うことです。苦土石灰を撒くにつれて酸性(pHの値が低い)の土がアルカリ性(pHの値が高くなる)の土に変わります。
一般的には、日本の土壌は大雨によってカルシウムやマグネシウムが流されて弱酸性(pH6.0くらい)に傾いていますし、化学肥料を与え過ぎてもpHは酸性に傾いてくるので、苦土石灰を撒いて野菜作りに適した土にしてください。
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土のpHの調べ方
土を目視しても、土をさわって感触を確かめてもpHの値を知ることはできません。
どのようにpHの値を調べればいいのかというと、近くに生えている植物を見たり専用の計器や器具を使って調べる方法しかありません。
土のpHを調べるには、主に次の4つの方法があります。
- 土壌酸度計を使う
- pH試験紙を使う
- pH試験液を使う
- 草や花を調べる
正確にpH値を知りたい場合は、専用の計器の土壌酸度計、pH試験紙や試験液を使うことをおすすめします。大体のpH値を知りたい場合は、草や花を見て判断してください。
一番おすすめの方法は、どなたでも手を汚さず簡単に測定できる土壌酸度計を使う方法です。
1.土壌酸度計を使う
土壌酸度計を使う場合は、計器の先端を湿っている土の中に突き刺すだけで簡単にpHの値を調べることができます。土が乾燥している時は水をかけてから測定しましょう。
計器の種類には、アナログ計とデジタル計がありますが、どちらを使っても酸性度を数値で確認できます。但し、デジタル計は電池を使わないと測定できないので気をつけてください。
土壌酸度計は、試験紙や試験液のように土と混ぜる手間が省略でき色の変化で判断しません。数値で判断しますので正確にそして手軽に酸性度を確認したい方におすすめです。
土に突きさす金属部分が錆びてしまったら、紙やすりで金属部分を磨いてから使いましょう。
2.pH試験紙を使う
pH試験紙を使う場合は、容器に土と水(蒸留水や精製水や水道水)を体積比で約1:2の割合(水は土の2倍入れる)となるように入れて混ぜ合わせて、その後にpH試験紙を土と水の中に浸し、紙の色の変化具合をカラーチャートと見比べながら酸性度を判断することができます。
費用を安く抑えたい方におすすめです。
3.pH試験液を使う
pH試験液を使う場合は、容器に土と水(蒸留水や精製水や水道水)を体積比で約1:2の割合(水は土の2倍入れる)となるように入れよく混ぜ合わせて、その後に濁りが落ち着いたら上澄み液(上側の水のこと)を試験管に入れ試験液を数滴たらして混ぜ合わせると試験液の色が変化します。pH試験紙と同じように色の変化を利用して酸性度を判断することができます。
費用を安く抑えたい方におすすめです。
4.草や花を調べる
庭で家庭菜園をする方は、野菜を育てたい場所に生えている草を調べると大雑把ですが大体の土壌の酸性度がわかります。
なお、日本では何も手を施していない土地ではpH6.0くらいの弱酸性の土壌が多いです。
酸度(pH)が確認できる代表的な草や花としては、
- 中性:ハコベ
- 弱酸性:タンポポ
- 酸性:ヨモギ
の3種類です。
↓タンポポは弱酸性の土壌に生えやすいです↓
また、草や花を調べる場合では、酸性度がわかる他に土壌の肥料分が多いか少ないかもわかります。
- 肥料分を葉の色で判断する場合・・・葉の色が深緑の時は肥えた土壌。薄緑の時はやせた土壌となります。
- 肥料分を生長具合で判断する場合・・・葉が大きかったり、草丈がよく生長している時は肥えた土壌。全体的に生長がよわよわしい時はやせた土壌となります。
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土壌の酸性度がわかる代表的な草や花
土壌の酸性度がわかる植物があることをご存じでしょうか。
中性の土壌に生えやすい花や草、弱酸性の土壌に生えやすい花や草、酸性の土壌に生えやすい花や草があります。
代表的な草や花を紹介しますので、庭先の土壌の酸性度の状態を確認してみてください。
中性の土に生える植物(pH:6.5~7.0)
このままの状態でもほとんどの野菜は育ちますので、特に苦土石灰を撒く必要はありません。
- ハコベ
- ナズナ
- タチイヌノフグリ
- セイタカアワダチソウ
弱酸性の土に生える植物(pH:5.5~6.5)
このままの状態でも野菜は育ちますが、場合によっては苦土石灰を撒いて調整してください。
- タンポポ
- カタバミ
- スズメノカタビラ
- カラスノエンドウ
- ノボロギク
- オランダミミナグサ
- クローバー
- スギナ
- スベリヒユ
- ツユクサ
- イヌノフグリ
- スミレ
酸性の土に生える植物(pH:5.5より低い)
このままの状態ではほとんどの野菜は育ちませんので、苦土石灰を撒いてpHを中性方向へ調整してください。
- ヨモギ
- オオバコ
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