庭を耕してラッキョウの育て方
広い市民農園を借りなくても自宅の庭先で家庭菜園を楽しむことができます。
庭先を使ったラッキョウの育て方を覚えて家庭菜園を始めてみませんか。
ラッキョウのタネ球の植え付けに適した季節は8~10月、収穫は翌年6~7月です。
自宅の庭の耕し方、タネ球の購入・植え付け、追肥、収穫までのラッキョウ栽培で行う作業方法をわかりやすく解説しています。
目次
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1.ラッキョウを育てる為の前準備
- ラッキョウの体への効用
- 食物繊維:21g(可食部100gあたり)
- ラッキョウは、食物繊維が多いので便秘の予防が期待できる健康野菜です。
- その他の予防効果は、硫化アリルは血液をさらさらにして血行促進の効果とビタミンB1の吸収を助けて疲労回復の効果、フルクタンは血糖値の上昇を抑える効果があるので動脈硬化や糖尿病の予防もできます。
- ラッキョウのおいしい食べ方は、市販されているラッキョウ酢に2週間ほど漬けておくとおいしいラッキョウ漬けが手軽に作れます。
- 食べる時に気を付けることはラッキョウに含まれている硫化アリルは殺菌効果が強いので食べすぎると胃もたれや腹痛を起こすことがあります。食べすぎに注意してください。
- ラッキョウの基本栽培情報
- 難易度:簡単
- 野菜の分類:ヒガンバナ科(ユリ科)
- 日当たり:日当たりが悪くても簡単に育ちますが日当たりが良い方が育ちはいいです
- 栽培に適した時期:8~翌年7月
- タネ球の植え付け:8~10月(初心者の方でもタネ球から簡単に育てられます。)
- 連作障害:なし
- 肥料の効かせ方:元肥・追肥は少なく与える
- 人工授粉:いらない
- 収穫時期:翌年6~7月
- 用意する主な資材
- ラッキョウのタネ球:大球種のラクダ、中玉種の八房という品種がおすすめです
- 肥料:肥料成分が8-8-8の化成肥料や有機質肥料のボカシ肥料が使いやすいです
まず初めは、タネ球を庭に植え付ける前準備として、庭を耕して野菜作りに適した土に改良します。
こちらを参考にしてください。
自宅の庭先ではなく小さな畑で本格的に野菜を作りたいとお考えの方は、タネ、苗、道具、資材が準備されているシェア畑のご利用がおすすめです。
ラッキョウのタネ球はこちらの楽天市場のショップからでも購入できます。
2.庭へタネ球を植え付けます
ラッキョウは栽培期間は長いですが、庭を深く耕して夏の終わり頃の9月の季節に日当たりのよい場所を選んで育てれば、個人の家庭菜園でも手軽に栽培することができる野菜です。
ラッキョウを上手に育てる時のポイントとしては、
- タネ球を1つずつにちぎって植え付けること
- 寒さに強く暑さに弱いので早植えしないこと
- 日当たり、水はけ、風通しが良い場所で育てること
- やせた土地でも育つこと
- 酸性土壌に弱いので石灰を混ぜること
- 連作を気にしなくても良いこと
に注意して育てるようにしてください。
特に、ラッキョウは水はけが良い場所を好むので土を湿らせすぎないようにしましょう。保水性に優れている土壌で栽培するとラッキョウが腐ったり病気になることがあるので気をつけてください。
ラッキョウはタネ球から育てていく野菜なので、次のようにタネ球を購入してから植え付けるという流れで進んでいきます。
1.タネ球を購入します
初めに行う作業は、ラッキョウのタネ球の購入です。
タネ球はホームセンターの園芸コーナーで7~10月の期間に購入することができます。
ラッキョウの品種は、次のように数種類あるので育ててみたい品種を選んでください。
- ラクダ:一般的な大粒のラッキョウ
- 玉ラッキョウ:台湾の品種で、鳥取、徳島で生産されているラッキョウ
- 島ラッキョウ:沖縄県産の小粒のラッキョウ
- エシャレット:根と葉がついた若採りの小粒のラッキョウ
ラッキョウの品種がわかりましたら、次はタネ球を選ぶ時のポイントを覚えましょう。
タネ球を選ぶ時のポイントは、
- 育てたい品種か?
- 外皮にキズはないか?
- 病気になっていないか?
- 腐っていないか?
を確認してから購入してください。
なお、ラッキョウ売り場にラッキョウという名前ではなくエシャレットという品種が売られていますが、普通のラッキョウよりも栽培期間を短くして収穫する品種のことです。興味がある方は育てやすいので試してみてください。
2.タネ球を庭に植え付けます
タネ球を購入したら、次に行う作業は、タネ球をしっかりと耕した庭に植え付ける作業です。
庭で育てる時は、ラッキョウのタネ球を植え付ける前までに必ず苦土石灰を撒いて土壌のpHを中和して、元肥の肥料を土に混ぜ合わせ土壌を整えてください。
苦土石灰は植え付け2週間前に1m2あたり100g(土の表面が薄ら白くなる程度)、植え付け1週間前に堆肥は1m2あたり2kg、肥料は有機質肥料や化成肥料を1m2あたり100gくらいを目安とします。
ラッキョウの生育中に枯れる失敗を減らす為に、病気にかかっておらず元気そうなタネ球を用意しましょう。
タネ球を植え付ける時期は8~10月が適しています。植え付けの基本は、タネ球を1つずつにばらしてとがっている方を上にして土が3cmくらい被るようにして株間10~15cmとなるように植え付けてください。
タネ球を植え付ける時に注意点がありまして、それは、植え付ける深さと個数です。
ラッキョウは植え付ける深さを浅くしたり深くしたりすると、次のように収穫できるラッキョウの大きさと個数が変わってきます。
- 浅く植え付ける:とがった部分が見えるように浅く植え付けると小粒で分球(個数)が多くなる
- 深く植え付ける:とがった部分が見えないように深く植え付けると大粒で分球(個数)が少くなる
1つのタネ球をそのまま植え付けるのではなく、同じ穴に1つ2つ3つ植えるというように、1球植え、2球植え、3球植えという方法があり、収穫できる大きさと個数が変わってきます。
- 1球植え:大粒で少量のラッキョウが収穫できます
- 2球植え:中粒で中量のラッキョウが収穫できます
- 3球植え:小粒で多量のラッキョウが収穫できます
また、ラッキョウを育てる期間でも大きさと収穫できる個数が異なってきます。ラッキョウを育てる栽培期間は、エシャレット、1年堀り、2年掘りの3種類があります。エシャレットとは若採りのラッキョウ、1年掘りとは通常の大きさのラッキョウ、2年掘りとはラッキョウを分球させ数を増やしたラッキョウのことです。
- エシャレット:小粒で少量のラッキョウが収穫可能
- 1年掘り:大粒で中量のラッキョウが収穫可能
- 2年掘り:1年掘りよりも良質で小粒で多量のラッキョウが収穫可能
このように、2年堀りは良質なラッキョウの収穫ができるので、時間がない方はエシャレットや1年掘り、時間がある方は2年掘りを試してみてください。
タネ球の植え付けが終わりましたら、根がしっかり張るまで水をたっぷり与えるようにしましょう。
タネ球を植え付けた後は水やりをしていると植え付けから10日くらいで芽が出てきます。タネ球は植え付けると芽がでますので、もし、芽が出てこない時は地中で腐っている可能性があります。
ラッキョウは寒い季節から暖かい季節まで育てるので、水やりは朝や昼の時間帯が適しています。日当たりの関係がありますが、水やりは1日1回と決めずに、土の表面が乾いている事に気が付いたらその都度水を与えてください。
ラッキョウは水はけが良い環境を好むので土が湿りすぎると腐りやすくなります。特に、冬場は地表が湿りやすいので水やりを少ない状態を保ちましょう。
↓タネ球の植え付け後10日間程で芽がでます↓
3.追肥します
ラッキョウのタネ球から芽が出ましたら肥料の追肥を始めます。
ラッキョウは夏の終わりの8~10月に植え付けて翌年の6~7月に収穫する野菜なので、肥料を与える頻度は、芽が出た1か月後と3月上旬の2回の追肥を与えます。肥料の量は1m2あたり30~50gでうねの脇に与え、肥料の種類は効き目が早い化成肥料や緩効性の有機質肥料を使ってください。
葉の色が薄い黄緑色の時、葉が枯れ出した時、草丈がとても低い時は、肥料が少ない状態ですので、すぐに肥料を適度に与えてください。そのままの状況で育てるとラッキョウの球の肥大が悪くなります。
葉が深緑色で勢いよく長く伸びていたら肥料が多い状態です。それ以上肥料を施すと病気に掛かりやすくなるので気をつけてください。
ラッキョウはやせ地でも育ちますので葉色が濃くなく薄くなければ追肥は不要です。
また、追肥と同時に土寄せも行いましょう。
追肥をする方法は、こちらを参考にしてください。
おすすめの化成肥料
栄養素がN-P-K=8-8-8でバランスよく配合されているので使いやすい化成肥料。値段が安いので広い栽培面積での野菜作りに最適です。
大宮グリーンサービス 化成肥料(国産) 8-8-8 5kg
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4.生長していきます
ラッキョウの栽培期間は約1~2年です。
ラッキョウのタネ球から芽が出た後は、適度に肥料と水を与えていくと、草丈は30~50cmくらいに伸びます。
ラッキョウは葉もの野菜ですが、土の中で球が大きくなっていくので、実際に球が生長しているのか見えないので不安になりますが、地上部の葉が枯れずに伸びていれば心配いりません。
ラッキョウの栽培中の注意点は、ラッキョウは水はけが良い場所を好む野菜なので土が湿りすぎると生長が悪くなります。保水性が良い土で栽培している時は水やりを控えてください。
また、冬を迎えると暖かい季節と比べると生長がゆっくりになりますが、冬の間も少しずつ生長しているので土が乾燥していたら水やりを忘れずに行ってください。
暖かくなってきたら追肥したくなりますが、肥料が少ないやせ地でも育つため肥料はあまり必要なくてもしっかりした球に生長します。
なお、3~4月ごろに土の高さが低くなってきたら土寄せを行ってください。土寄せをせずに育てると丸球や長球が増え品質が悪くなりますし、太陽の光が球に当たり緑色に変色して硬くなるので、必ずラッキョウの球の根元を土で覆うようにして土寄せをして白色のラッキョウになるように対策を施してください。
タネ球を植え付けて10月くらいになるとトウ立ちしてきますが球の肥大を促すトウ摘みは行わなくても大丈夫です。
↓タネ球を植え付けてから6カ月くらい経過すると、草丈が30~50cmになります。↓
トウ立ちとは何ですか?
ラッキョウは秋になると紫色の花が咲きます。
トウ立ちとは、ラッキョウのタネ球を秋に植え付けると茎が伸びて茎の先端につぼみができて花が咲くことです。
一般的な野菜は、トウ立ちするとトウに栄養が送られ球の太りが悪くなるので先端のつぼみは摘み取りますが、ラッキョウはトウ立ちした後に収穫するまでの期間が長いので、先端のつぼみは摘み取っても摘み取らなくてもどちらでも構いません。
ラッキョウの花は綺麗なので鑑賞しても楽しめます。
5.ラッキョウの病害・害虫対策
ラッキョウは栽培期間は長いですが、病気や害虫の被害に遭いにくい野菜です。
しかしながら、油断していると病気や害虫の被害が発生してしまいます。特に発生する確率が高い病気は、ウイルス病、さび病、春腐病、軟腐病の4つです。
- ウイルス病:ウイルスが原因で葉が黄色い斑点ができたりねじれてしまう病気
- さび病:窒素成分を与え過ぎると葉に橙色の斑点ができる病気
- 春腐病:窒素成分を与え過ぎると葉が腐る病気
- 軟腐病:球が腐敗して悪臭がする病気
病気が進行してしまうと最悪の場合は根っこから株ごと処分しなければいけなくなるので異変に気がついたら薬剤を散布するなどして早めに対処してください。
また、寒い季節では害虫の被害はほとんど発生しませんが、冬が過ぎ春になり気温が暖かくなってきたら、黒い小さな虫が大量にラッキョウの葉にこびりついていることがあります。
この黒い虫はネギアブラムシなので、ラッキョウの葉の汁を吸って大きくなっていきます。アブラムシが原因でウイルスに感染することがあるので気を付けてください。
アブラムシは、薬剤を撒くか、ピンセットで潰すかして、早めに駆除してください。
おすすめの薬剤についてはこちらを参考にしてください。
薬剤を散布したくない時は、石灰はpHの調整の他に殺菌作用があるので、苦土石灰や有機石灰などを撒いて有害な菌が減って病気の進行が止まるのか様子を見るという方法もあります。
病気にかかってしまい葉の数が少なくなったり、アブラムシなどの害虫がいると球の太りが悪くなるので気を付けて栽培してください。
6.収穫します
ラッキョウは根が肥大する根もの野菜と勘違いされやすいですが、地中で葉が変化して肥大したりん茎(りんけい)という栄養が蓄えられた部分を食用する葉もの野菜に分類されます。
ラッキョウは玉ねぎと同じく地下の茎が大きくなった野菜なので地中にできた球根を収穫します。
ラッキョウの育て方は、エシャレット、1年掘り、2年掘りがあるので収穫時期が異なります。
- エシャレット:タネ球を植え付けてから翌年の3~4月(約6カ月経過後)
- 1年掘り:タネ球を植え付けてから翌年の6~7月(約9カ月経過後)
- 2年掘り:タネ球を植え付けてから2年後の6~7月(約21カ月経過後)
収穫していいのかを見極めるタイミングとしては、地上の葉が枯れてきたら収穫適期です。
ラッキョウは地中にできているので掘り返さないとわからないので、地上の葉が枯れてきたら天気がいい日に試しにスコップで掘り上げて根元を持って引き抜いて確認してください。
ラッキョウは、葉は枯れた状態、又は枯れかかっている状態で晴れた日に根っこが付いた状態で掘り出して収穫しますので収穫するタイミングを覚えておいてください。
↓収穫したラッキョウ。葉っぱが枯れ始めてきたら収穫適期です。↓
収穫後は太陽の光に当てておくと緑色に変色して硬くなるので日光が当たらない涼しい場所で保管してください。収穫したラッキョウは乾燥させ日が当たらない場所に保管すると次の栽培シーズンにタネ球として植え付けすることができます。
ラッキョウの美味しい食べ方は、塩漬け、酢漬け、みそ漬けなどにして召し上がると美味しくいただけます。
特におすすめな食べ方は酢漬けです。酢漬けの酢はスーパーに売っているので手軽に作ることができますし、自分で甘酢を作って甘酢漬けをしても簡単です。
甘酢漬けの作り方は、ラッキョウの根と葉を切って球の薄皮を取ります。濃度5~10%の塩水を作ってラッキョウを入れて10日間くらい保管します。10日間経過したら塩水を捨てて沸騰したお湯をかけて殺菌処理します。お好みの味で甘酢(水、氷砂糖、酢)を作ってラッキョウを漬けて2週間程保管したら完成です。
ラッキョウの収穫時期は6~7月ですが、3月下旬から4月上旬に葉が枯れておらず緑色の時に若採りすると香りや辛味が少ないエシャレットとして収穫できます。
なんといってもエシャレットは香りや辛味が少ないので生のままでマヨネーズや味噌をかけて食べても美味しいです。エシャレットとして収穫したい方は深植えして球を細長くするように育ててください。
エシャレットもラッキョウも収穫した後は生長を続けているので、できるだけ早く調理して食べるようにしてください。
ラッキョウは栽培期間が長いですが、ビタミンB1のアリシンを含むのでスタミナ野菜として効果があり、肥料も少なくて済み比較的育てやすい野菜なので是非栽培してみてください。
ラッキョウはどのように数が多くなるの?
ラッキョウはどのように数が多く生長するのかというと、1つのタネ球を土に植え付けたら次第にタネ球が分球してラッキョウの数が多くなって生長します。
上の写真は1年掘りで収穫して1つのタネ球から9球のラッキョウができ上がりました。
エシャレット、1年掘り、2年掘りというように栽培期間が長い方が分球が多くなるので、2年掘りが多くのラッキョウの収穫が可能です。
- エシャレット、1年掘り:5~12球
- 2年掘り:12~30球
したがって、たくさんのラッキョウを収穫したい方は、エシャレットや1年掘りではなく2年掘りの栽培をおすすめします。
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