庭を耕して大玉トマトの育て方
広い市民農園を借りなくても自宅の庭先で家庭菜園を楽しむことができます。
庭先を使った大玉トマトの育て方を覚えて家庭菜園を始めてみませんか。
大玉トマトの苗の植え付けに適した季節は4~5月、収穫は6~8月です。
自宅の庭の耕し方、苗の植え付け、追肥、収穫までの大玉トマト栽培で行う作業方法をわかりやすく解説しています。
目次
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1.大玉トマトを育てる為の前準備
- トマトの体への効用
- βカロテン当量:540μg(可食部100gあたり)
-
トマトのβカロテンは基準値より少ないですが、1度に食べる量が多いので緑黄色野菜になっています。
期待できる効果は、ビタミンCやカリウムが多く含まれているので免疫力アップや高血圧予防、そして、クエン酸も含まれているので疲労回復にも役立ちます。 - トマトの赤色はリコピンという色素によるもので抗酸化作用があります。トマトは生のままサラダとして食べても美味しく、加熱するとリコピンが多く体に吸収できるので炒めたり煮物にしたりして食べるのもおすすめです。
- 大玉トマトの基本栽培情報
- 難易度:難しい
- 野菜の分類:ナス科
- 日当たり:日なたが良い
- 栽培に適した時期:3~8月
- タネまき:3~4月(初心者の方はタネから育てるのは少し難しいです。)
- 苗の植付け時期:4~5月
- 収穫時期:6~8月
- 収穫量:15個くらい
- 連作障害:あり。同じ土では3年休む
- 肥料の効かせ方:肥料切れにならないように栽培全期間でこまめに与える
- 人工授粉:いらない。着果が悪い時はホルモン剤(トマトトーン)を散布してください
- コンパニオンプランツ:ニラ、バジル、パセリ
- 用意する主な資材
- 大玉トマトの苗:ホーム桃太郎、麗夏、サンロードという品種がおすすめです
- 肥料:肥料成分が8-8-8の化成肥料が使いやすいです
- 支柱:180cm以上の支柱を1本
- 誘引用のひも:枝を支柱に結びつける時に使います
- 園芸用ハサミ:実を収穫する時に使います
まず初めに、苗を庭に植え付ける前の準備として、庭を耕して野菜作りに適した土に改良しましょう。
こちらを参考にして作業を進めてください。
自宅の庭先ではなく小さな畑で本格的に野菜を作りたいとお考えの方は、タネ、苗、道具、資材が準備されているシェア畑のご利用がおすすめです。
2.苗を用意します
大玉トマトの苗はタネから育てることもできますし、ホームセンターの園芸コーナーやインターネットの通信販売などでも購入できます。
しかし、タネから育てると発芽温度が20~30℃と高く、温度管理や育苗に手間と時間(約2カ月間)がかかるので園芸店で苗を購入した方が発芽の失敗がないので簡単です。
もし、前年に大玉トマトなどのナス科の野菜を育てた同じ土で今年も育てる場合は、大玉トマトはナス科の野菜と連作をすると病気にかかりやすくなるので接ぎ木苗を購入しましょう。
大玉トマトの接ぎ木苗はこちらの楽天市場のショップからでも購入できます。
タネから育てようと考えている方は、こちらを参考にしてください。
苗を購入する場合は、こちらを参考にして良い苗を選んでください。
3.苗を庭へ植えつけます
暖かくなってきた5月上旬頃に苗をしっかりと耕した庭に植えつけます。
(植えつけに適した苗は、第1花房に花のつぼみがつき始めたものです。)
注意:庭で育てる時は、大玉トマトの苗を植え付ける前までに必ず苦土石灰でpHを中和して、元肥の肥料を土に混ぜ合わせ土壌を整えてください。
苦土石灰は植え付け2週間前に1m2あたり150g(土の表面が薄ら白くなる程度)、堆肥は1m2あたり3kg、肥料は有機質肥料や化成肥料を1m2あたり120gくらいを目安とします。
植えつける時は、畝の高さは10cmくらい作り、株と株との間隔は30cm以上離してください。実生苗(自根苗)は深植えが適しており、接ぎ木苗は接ぎ木部分が埋まると接ぎ木の意味がなくなるので接ぎ木部分が埋まらないようにしてください。
植え付けが終わりましたら、たっぷりの量の水やりをしましょう。
植えつけ方法は、こちらに詳しく書いてありますので参考にしてください。
水やりは朝や昼が適していますが、特に時間帯を気にしなくても大丈夫です。土の表面が乾いている事に気が付いたら、その都度水を与えてください。トマトは乾燥した土壌を好む野菜ですが、水を与えていない日が続くと確実に枯れます。
日当たりの関係がありますが、
- 春は朝の時間帯
- 夏は朝から夕方の時間帯
に、水やりをしなければ野菜がしおれてしまうと思います。
但し、水やりの回数が多すぎたり長雨が続くと実が割れやすくなるので水の与えすぎには気をつけましょう。
また、地面にマルチフィルムを敷いていない場合は、わらや腐葉土などを地面に敷いて、雨が降った時の土のはね返りによる病原菌の感染予防や日差しによる土の乾燥を防ぐ対策を行うと、根の張りが良くなり丈夫な株に生長します。
4.支柱を立てて誘引します
大玉トマトは茎を上に伸ばして空中栽培する野菜なので支柱を立ててひもで誘引してください。
支柱の立て方は、支柱を真っ直ぐに1本立ててください。支柱の長さは180cm以上の長いものがおすすめです。
※支柱は100円ショップでも購入できます。
茎を支柱に誘引する時は、柔らかいひもで8の字の形にして茎に食い込まないように少し余裕を持たせて支柱と茎とを結びつけます。
(誘引とは強風などで苗が倒れないようにする作業のことです。また、誘引をすると日当たりや風通しを改善できる効果もあります。)
もし、支柱の先端まで茎が伸びてしまった時は、それ以上の長さを支柱に誘引できないので茎の先端を切ってください。先端を切ることにより、今まで茎の先端の生長に使われた栄養分を実の生長に使うことができます。
5.整枝(わき芽かき)をします
わき芽とは、茎と葉のつけ根から伸びてくる若い芽のことで、苗が生長していく過程で次から次へとわき芽が伸びてくるようになります。
ミニトマトはわき芽を伸ばして育てることがありますが、大玉トマトの場合はわき芽は伸ばさず、主枝1本のみを伸ばしていきます。
わき芽を伸ばすと、主枝の生長と実着きが悪くなるので、全てのわき芽は早めに摘み取って栄養がよく回るようにしましょう。
※わき芽を伸ばすと小さい実しか収穫できなくなります。
↓わき芽かき前↓
↓わき芽かき後↓
6.追肥をします
苗を植えつけた後、第1花房に花が咲いて結実して実が大きくなり始めた頃から定期的(2週間に1回)に肥料を与えます。
大玉トマトに与える肥料の量は1m2あたり30gで、肥料の種類は効き目が早い化成肥料を使ってください。実をより甘くしたい時は有機質肥料を少し与えると効果的です。
※特に第1花房と第3花房の実が大きくなった時は少し多めに肥料を与えましょう。
大玉トマトの草勢は葉の色で簡単に確認できます。葉が深緑色でギザギザがなくなっていたり、葉自体が丸まっている場合は肥料が多い状態です。逆に、葉が黄緑色、葉が小さい場合は肥料が少ない状態です。様子を見ながら肥料を与えてください。
追肥をする方法は、マルチフィルムをめくるか野菜が植えつけてあるマルチフィルムの穴からスプーンなどを使って肥料をうねの脇にまいてください。
追肥をする方法は、こちらを参考にしてください。
肥料が効きすぎているかの判断は、こちらを参考にしてください。
おすすめの化成肥料
栄養素がN-P-K=8-8-8でバランスよく配合されているので使いやすい化成肥料。値段が安いので広い栽培面積での野菜作りに最適です。
大宮グリーンサービス 化成肥料(国産) 8-8-8 5kg
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7.花が咲きます
苗を植え付けてから1カ月くらい経過すると、ミニトマトのように花房に花がたくさん咲き始めます。
大玉トマトは1つの花に雌しべ(めしべ)と雄しべ(おしべ)を持った両性花なので、何もしなくても実が大きくなるので特に人工授粉する必要はありません。
もし、花が咲いても落花して実が着かない時は、次の原因が考えられます。適切に対処してください。
- 肥料の量は適切か?
肥料は多すぎても少なすぎてもいけません。多すぎるとつるボケ、少なすぎると生育が悪くなります。 - 水やりは適切か?
土が湿りすぎても乾燥しすぎてもいけません。特に水のやり過ぎは味が落ちるので気をつけましょう。 - 8月などで極端に気温が高くないか?
トマトは30℃以上の気候を好みませんので、気温が高すぎると生育が衰えます。適切な気温が必要です。
その他の要因では、長雨が数日間続いて日当たりが悪くなると落花しやすい傾向があります。
また、少しでも酸っぱくない大玉トマトを収穫したい方は、
- 日当たりが良い場所で育てる
- 肥料は化成肥料と有機質肥料の両方を使う
- 栽培後期の追肥では窒素成分は多く与えないようにする
- 水やりは1日1回だけ行う
- 結実後は色がしっかり変わるまで待つ
ことが重要なポイントとなります。
↓花が咲いてから実が赤くなるまで2カ月以上かかります。
第1花房の花が咲いた時の注意点
大玉トマトの苗を育て始めて、初めに咲く第1花房の花々は最低でも1つ確実に着果させないと、第2花房以降の花は着果しにくくなり、茎だけが伸びていくだけで実が着かないというつるボケという症状になりやすいです。
どうしても花が咲いても花が落ちてしまい実がつかないという時は、落花を防いで結実させるトマトトーンという薬剤を使用してください。
使い方はとても簡単で、1つの花房に花が3つくらい咲いた時に、花房全体かそれぞれの花に向けてトマトトーンを1回吹きかけるだけです。
大玉トマトの花は数日間しか咲かないので、その間に第1花房は確実に着果させないといけないことを覚えておいてください。
8.収穫します
実もの野菜は収穫する時の熟度がとても大切です。開花から2カ月くらい経過して、実が赤く完熟したら収穫してください。
大玉トマトは赤く成熟した実を収穫する実もの野菜ですが、収穫が遅れて過熟な状態になると熟し過ぎて実がふにゃふにゃになって味が落ちるので気をつけましょう。また、収穫時期に水やりを多くしたり、長雨に見舞われると実にひびが入る実割れが起こるので天気予報を見て雨が続くようなら早めに収穫した方がいいです。
トマトは、日当たりがよく、涼しい気候を好む野菜です。夏の暑さで株が弱り実が大きくならないこともあるので、苗の植え付け時期は遅くならないようにしましょう。上手に育てればスーパーで購入したトマトよりも甘いトマトが収穫できます。
美味しいトマトを見分ける方法ですが、トマトのお尻からスターマークといわれる放射状に伸びた線が多い程甘いトマトだといわれています。
大玉トマトは栽培が難しいので1回くらい失敗しても諦めずにまたチャレンジしてみてください。
トマトにはグルタミン酸といううま味成分が含まれており、特にタネの周辺のゼリー状にはグルタミン酸がたくさん詰まっています。
そして、トマトの皮にはペルオキシダーゼという酵素があり、免疫力を高めるので、トマトは皮を捨てたりせず健康の為に丸ごと食べましょう。
↓開花から2カ月以上かかって収穫できる赤色のトマトの実になります↓
大玉トマトの実割れはどうして起こるの?
トマト(大玉、中玉、ミニ)は果肉と果実の皮は一緒に生長して大きくなっていきますが、ある大きさになると生長が止まり赤く成熟します。
成熟した後に雨が大量に降って大玉トマトが根から大量の水分を吸収すると果肉が膨らみますが、皮の生長は止まっているので皮にヒビが入ってしまいます。また、大玉トマトに長時間雨が直接当たっても皮にヒビが入り実割れが起こるので、赤く成熟した実は天気予報を確認して雨の日の前日には収穫を行った方がいいです。
特に大玉トマトは雨が長時間続くとすぐに皮にヒビが入ってしまうので育てにくいのが難点だと思います。
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