野菜の受粉・人工授粉
1.人工授粉させるには雄花と雌花の違いを知る
受粉(じゅふん)という言葉は、小学生の時の理科の時間に勉強したと思いますが覚えていますか?
受粉とは、雄しべのやくで作られる花粉が雌しべの柱頭に付着することです。野菜の花が咲いた後に実をつけるために行う作業です。
花が受粉した後に受精して実をつけるためには、同じ株で咲いた花どうしで受粉する自家受粉と、虫や風が花粉を運んで他の株で咲いた花と受粉する他家受粉があります。
確実に受粉させるためには、同じ野菜を2株以上一緒に育てることが望ましいのですが、野菜を育てる栽培面積が小さい場所ではそうもいきませんので、そのような場合は人の力で人工的に授粉させる人工授粉を行う必要がでてきます。
では、受粉も人工授粉もしなかったらどうなるのかというと実は大きくならないので1個も果実の収穫をすることはできません。せっかく丹精込めて育てた野菜の実の収穫ができないことを防ぐために雄しべの花粉を雌しべにつけてください。
まずは、受粉させるには雄花(おばな)と雌花(めばな)の役割を覚えましょう。
植物の花には、雄花と雌花の2種類があることをご存じでしょうか?
- 雄花:雄しべのやくで花粉を作る花のこと
- 雌花:雌しべの柱頭で受粉して杯のうの卵細胞まで移動してきた精細胞と受精して実を着ける花のこと
野菜の花には、雄しべと雌しべの機能を持った花が別々に1つの株に咲く両性花、1つの花の中に雄しべと雌しべの両方の機能を持った花が咲く単性花、雄花しか咲かない株と雌花しか咲かない株の雌雄異株があります。
雄花と雌花の見分け方は、花のつけ根に膨らみがないのが雄花で膨らみがあるのが雌花です。雄花の花の中には雄しべというものがあり、雌花の花の中には雌しべというものがあります。
自然界の受粉は風などで花粉が雌しべに飛ばされる、ミツバチなどの虫が花粉を雌しべに運ぶことによって成り立っています。
しかし、風がない環境や虫がいない環境では受粉はできませんよね。そんな時は人工授粉という作業を人為的に行い対処します。人工授粉とは、自然界が行っている受粉と同じ結果となるように、人為的に雄しべについている花粉を雌しべに移動させてしまいましょうという方法です。
人工授粉を行う方法は、筆を使ってもいいですし、雄花をちぎって雌花に接触させても構いません。人工授粉を成功させるには晴れている日に行うことです。
とにかく、雄しべについている花粉を、雌しべに移動させてください。受粉が成功すると、雌しべのつけ根の小さい実(子房)が収穫できる大きさに生長します。実もの野菜は、人工授粉させた方が確実に収穫ができます。
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2.人工授粉が必要な主な野菜
人工授粉が必要な主な野菜は、
- トウモロコシ
- スイカ
- メロン
- カボチャ
- イチゴ
などです。
家庭菜園で人気があるトウモロコシは植え付けている本数が少ないので自然の流れでそのまま育てていても実がつきません。受粉させないと実がつかないと覚えておいてください。
特に、トウモロコシは人工授粉の方法はコツが必要です。穂の花粉が飛びだしてなくなった頃に、実となる部分のひげが伸びだしてきますので、数週間ずらして2本以上植えつけないと実の収穫はできません。
イチゴは、人工授粉は特に要りませんが、実つきが悪いようなら筆で花をこすってください。
3.人工授粉がいらない主な野菜
1つの花に雄しべと雌しべがある野菜は、人工授粉は基本的に必要ありません。
人工授粉が不要な主な野菜は、
- ナス
- キュウリ
- トマト
- ピーマン
- インゲン
- エダマメ
などです。
これらの野菜は、雄しべと雌しべが近い位置にありますので風などで自然に受粉します。特に人工的に授粉させる必要はありません。
但し、大玉トマトは落花が多いので、その様な時はトマトトーンを吹きかけると着果がよくなります。トマトトーンは大玉トマトの他に、ミニトマト、中玉トマト、ナスの着果にも使用できます。
キュウリは雄花と雌花がありますが、受粉しなくても実が太くなる性質があります。しかし、花が咲いてもすぐに枯れ落ちる時は人工授粉させた方がいいでしょう。
このように、トウモロコシ、スイカ、メロン、カボチャは人工授粉を行い、それ以外は人工授粉は不要と思ってください。
人工授粉が必要な野菜と不要な野菜があることを覚えておいてください。
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