野菜作りに必要な肥料の基礎知識

野菜栽培で使う有機質肥料

ホームセンターの園芸売り場に行くと、いくつもの野菜の肥料が陳列されていてどれを選べばいいのか全くわからなくなるものです。

私がおすすめする家庭菜園の初心者さんの野菜の肥料の選び方は、元肥は遅効性の有機質肥料、追肥は速効性の化成肥料を選んで育てることです。元肥と追肥に使う肥料を区別して使うと大きい野菜が収穫できやすい特徴があります。

つまり、家庭菜園を始める時はどの肥料を選べばいいのかという野菜の肥料の基礎知識が必ず必要になります。

ここでは、野菜の肥料の種類と肥料の3要素の基礎知識をわかりやすく解説しています。野菜の肥料の基礎知識を覚えて美味しい野菜をたくさん収穫できるようになってください。

目次

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1.元肥と追肥について

元肥と追肥

家庭菜園の本や肥料の袋には、元肥・追肥という用語が書かれているのを見たことはありますか?

元肥と追肥とは、そういう名称の肥料があるのではなく、次のように肥料を土と混ぜ合わせる時期の違いによって使い分けている言葉のことです。

元肥(もとごえ)
野菜の苗の植え付け時やタネまき時にあらかじめ土と混ぜておく肥料のことです。プランター栽培で使う市販されているほとんどの培養土には元肥が入っているので入れる必要はありませんが、庭の土で育てる時は元肥を入れてください。
追肥(ついひ)
野菜の苗の成長途中で不足した栄養分を補う為に、野菜栽培中に土に混ぜ合わせる肥料のことです。培養土でも庭の土でも必ず追肥は必要です。

花を育てたことがある方は追肥を与えなくても生長して花が咲いたと思いますが、野菜は追肥しないと大きい実に生長しませんし肥料を多く消費する野菜は肥料切れになると葉が黄色っぽい色に変色して見事に枯れてしまうので注意してください。

なぜ追肥を行わなければいけないのかと言うと、野菜を育て始めた時に与えた肥料(元肥)が大雨や毎日の水やりで流されたり、植物の根で栄養分を吸収されたりして土の中の肥料が少なくなってきます。その為に、追肥をすることで肥料を追加して栄養分を土に補充しなければいけない必要がでてきます。

土の中の肥料が少なくなるとどうなるのかというと、野菜の葉は緑色が正常ですが、緑色から黄緑色に変化して最終的には栄養分の不足で枯れてしまいます。その逆に肥料を多く与えると、葉っぱが茂りすぎて実がつきにくくなったり、根が傷んで生長が止まり枯れてしまします。肥料の適量は野菜によって異なるので、野菜によって与える量を調整してください。

なお、追肥は1回すればいいのではなく、肥料を与えてもまた大雨や水やりで流されたりして少なくなっていきますので定期的に行う必要があります。

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2.野菜に与える肥料の種類

野菜栽培の有機質肥料と化成肥料

みなさんは家庭菜園で野菜を栽培する時はどんな種類の肥料を使っていますか?

最近人気があるのは有機栽培で育てたトマトは安全で美味しいとテレビの園芸番組などで観たりして有機肥料が根強い人気がありますよね。

肥料は大きく分類すると、有機質肥料と無機質肥料(化成肥料)に分類されます。

どちらの肥料にもメリットとデメリットがあるので、有機質肥料は良く化成肥料は悪いとは一概にいえません。扱いやすさでいえば化成肥料の方が上なので家庭菜園の初心者では、有機質肥料よりも化成肥料を使った方が肥料不足で野菜を枯らして生育失敗する確率が低いです。

私がおすすめする肥料を与える方法は、元肥は有機質肥料を使って、追肥は化成肥料を使うというように、緩効性と速効性の特性を使い分けるのが望ましいです。

有機質肥料と化成肥料の特徴を覚えて、自分が目指している栽培方法に適した肥料を使うようにしましょう。

有機質肥料の特徴について

有機質肥料(ぼかし肥料)

有機質肥料は、植物性の有機質と動物性の有機質に分けられます。

  • 植物性:植物油(なたね、大豆など)の搾りかす
  • 動物性:鶏ふん、牛ふん、骨粉など

※バーク(樹木の皮)堆肥、落ち葉の腐葉土などは有機質ですが、肥料成分はほとんどないので土壌改良材として使います。また、牛ふん堆肥は動物性の有機質ですが肥料効果よりも土壌改良を目的として使うことが多いです。

植物性・動物性のどちらも天然素材から作られており、土と混ぜ合わせると土の中の微生物により有機質から無機質へ分解されゆっくりと効果がでる遅効性の肥料て長時間肥料の効き目が続きます。

ぼかし肥料は、いろいろな有機質肥料を組み合わせあらかじめ発酵させたもので効き目が早いことが特徴で、微生物の働きで土が活性化し悪玉菌が減るメリットがありますが、独特のにおいがするのでベランダ菜園で使う時は気をつけてください。

有機質肥料はゆっくり効き目が現れるので、元肥として使われることが多いです。有機質肥料は天然素材だから安心できるといっても混ぜすぎると葉っぱばかり茂るようになるので適量を守りましょう。

化成肥料の特徴について

化成肥料(8-8-8の普通化成)

化成肥料は、化学合成によって肥料成分(肥料の3大要素である窒素・リン酸・カリ)がバランス良く配合されている速効性の肥料(高度化成、普通化成)又は緩効性の肥料(IB入り化成、CDU入り化成、被覆肥料など)です。

化成肥料のにおいは無臭に近く効き目が早いので肥料の量を操作しやすいというメリットがありますが、無機質なので微生物に分解されずにそのまま効果が現れるので、与えすぎると肥やけといって野菜の根っこを傷めやすいので気をつけてください。

また、無機質の肥料を多く与えすぎると、土の中の微生物の働きが衰えて微生物の数が減少するようになるので、土が固くなり通気性や排水性が悪くなります。化成肥料は効き目が早いので主に追肥として使われることが多いです。

なお、化学肥料(単肥)とは単一の肥料成分のみを含んだ肥料のことです。数種類の化学肥料を混ぜ合わせて2種類以上の肥料成分を含んだものを配合肥料、肥料の1粒の中に2種類以上の成分を含んだものを化成肥料といいます。

元肥に最適でおすすめの有機質肥料

自然応用科学 おいしい野菜の肥料 2kg

追肥に最適でおすすめの化成肥料

住友化学園芸 マイガーデン ベジフル 700g

 

3.肥料の3要素とは

肥料の3要素

家に肥料をお持ちの方は肥料のパッケージを一度見てください。何やら、N、P、Kというアルファベットが書いてあることに気がつきましたか?

N、P、Kにはちゃんと意味があり、N=窒素、P=リン酸、K=カリのことを表していて、肥料の3要素とは、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)のことをいいます。

野菜を健康に育てるには、

  • 空気や水に含まれている酸素、炭素、水素
  • 肥料の3要素である窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)
  • ミネラル分のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、イオウ(S)

などの栄養分が必要になります。

空気はどこにでもあり、水は水道水や雨から補給できますが、肥料とミネラルは人為的に与えなければ補給できません。
※土壌を肥沃(ひよく)にする為に、クローバー、エンドウ、レンゲソウなどのマメ科の緑肥作物を土にすき込む方法もあります。

このN、P、Kの肥料成分を野菜に適切に与えなければ大きく育ちませんし、肥料切れになると最悪の場合は枯れてしまいます。

肥料のことは、とても重要ですのでしっかりと知識を身につけてください。

窒素(葉肥)
窒素は、野菜の苗の葉、茎の成長を促進します。主に、苗の初期から中期段階の生長に欠かすことができない肥料成分です。
窒素が不足すると葉が黄色く小さくなったり、苗全体の生育が悪くなります。
また、窒素が多すぎても葉や茎だけがどんどん大きくなっていくだけで、花が咲かなかったり、実つきが悪くなるので実もの野菜の収穫量が減り、アブラムシも大量にこびり付くようになるのでいいことは1つもありません。
窒素が多い肥料:尿素(化学肥料)、硫安(化学肥料)、油かす(有機質肥料)
リン酸(実肥)
リン酸は、野菜の苗の花や実の成長を良くする成分です。
リン酸が不足すると、花の開花が遅くなったり、実が中々大きくならない、根の張りが弱いなど、苗全体の発育が悪くなります。
リン酸が多い肥料:過リン酸石灰(化学肥料)、ようりん(化学肥料)、骨粉(有機質肥料)、米ぬか(有機質肥料)
カリ(根肥)
カリは、野菜の苗の根や茎を丈夫にして、病気や害虫に強い株を育てる成分です。雨が多い時期は、苗が病気にかかりやすくなるのでカリを切らさないでください。
カリが不足すると、病気などへの抵抗力が弱くなり株のつけ根から上部に向かって葉が枯れていきます。
カリが多い肥料:塩化カリ(化学肥料)、硫酸カリ(化学肥料)、草木炭(有機質肥料)

肥料の3要素(窒素、リン酸、カリ)は野菜が生長する為にはとても重要な成分ですが、その他には、カルシウム、マグネシウム、イオウなどのミネラル分の肥料も野菜の生長に少しですが必要になります。

カルシウム(Ca)
根の育ちを助けて植物を元気にします。その他では、窒素がたんぱく質やアミノ酸に変化するのを助けます。
マグネシウム(Mg)
リン酸の吸収を促進します。また、光合成をする葉緑素を作ります。
イオウ(S)
アミノ酸の成分で、根の生長に関わってきます。

このように、窒素、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム、イオウの6つの成分を肥料の6要素といって、野菜が生長する為には重要な成分になることを覚えておいてください。

活力剤だけで野菜は育つの?

ホームセンターの園芸コーナーに行くと、肥料の近くに活力剤という小さな容器に入った液体のものが売っていますよね。

活力剤は、野菜の健全な生長を助けるカルシウムや鉄などのミネラル分、微量要素といわれる肥料成分を補うために使います。

活力剤の種類は3要素入りの活力剤と3要素なしの活力剤があります。3要素入りの活力剤でも肥料の3要素(窒素、リン酸、カリ)はほとんど含まれていませんので、活力剤だけ与えていても植物は大きく育ちません。

活力剤は、窒素、リン酸、カリの他に足りないと思われる成分を補うことが目的なので、普通の有機質・無機質肥料がメインで活力剤はサブで活用する物として使うようにしてください。

4.肥料の含有率の表記について

肥料のN、P、Kの意味については上記で説明しましたが、ここでは、N、P、Kの含有率の表記について説明します。

N、P、Kの後ろに数字が書かれていると思いますが、その数字が肥料の含有率を表しています。

例えば、肥料のパッケージに、N―P―K=5-8-5、と書かれていたら、窒素5%、リン酸8%、カリ5%が含まれていることを表しています。
※100gあたりに換算すると、窒素5g、リン酸8g、カリ5gとなります。

また、肥料には、普通化成と高度化成の2種類があり、N(窒素)、P(リン酸)、K(カリ)の数字を合計した値が、30%未満の肥料は普通化成、30%以上の肥料は高度化成として区分されています。

例えば、

  • N-P-K=8-8-8の肥料では、8%+8%+8%=24%なので普通化成
  • N-P-K=16-16-16の肥料では、16%+16%+16%=48%なので高度化成

となります。

N-P-K=16-16-16などの高度化成は、肥料濃度が高いので根を傷めやすくなります。家庭菜園には不向きなので使わないでください。

下記に元肥と追肥に適した肥料の割合を紹介しますので、肥料を与える時の参考にしてください。

元肥に適した標準的な肥料の割合
NーPーK=6-6-6、NーPーK=8-8-8などの普通化成
実もの野菜の追肥として使う肥料の割合
窒素(N)とカリ(K)よりも、リン酸(P)が多く入っている肥料
例えば、N-P-K=8-10-8など
葉もの野菜の追肥として使う肥料の割合
窒素(N)とカリ(K)よりも、リン酸(P)が少ない肥料
例えば、N-P-K=8-6-8など

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