野菜のタネまきの方法

1.野菜の種類でタネの蒔き方を工夫する

野菜を育てる時は、野菜のタネや苗を用意しなければいけません。

プラグトレーやビニールポットを使って野菜の苗の移植栽培を行わない時は、耕した庭やプランターへ直接タネをまいて野菜を育てていきます。

野菜のタネまきの方法は、主に、すじまき(条まき)、点まき、ばらまきの3種類があるので、野菜の種類やタネの大きさによってまき方を工夫するとタネまきがしやすくなります。

タネまきをする時の注意点ですが、地温がタネの発芽適温に達していないと発芽は不安定となるので、

  • 実もの野菜は気温が20~30℃
  • 葉もの野菜、根もの野菜は気温が15~25℃

という環境の時にタネまきを行って発芽の失敗を防いでください。

特にタネを春まき(2~4月)する時は気温がまだまだ低いので発芽不良を起こします。春まきする時は地面に不織布や透明なビニールフィルムをべたがけしたり、トンネル用の支柱とビニールフィルムを使って温室を作るなどして発芽するまでは保温対策をしてください。

タネを土にまく深さは、タネの大きさの1~3倍とするのが基本です。要するに、タネの大きさの違いで5mm~10mmくらいの深さとなるようにまけば完璧です。

ここでは野菜をタネから育てる時によく使う、すじまき、点まき、ばらまきの違いについて簡単に説明します。

1.すじまき(条まき)でタネを蒔く方法

すじまきとは、直線でまき溝を作って、そのまき溝にタネが重ならないようにまいていく方法です。

  • すじまきが適しいる野菜:葉もの野菜(こまつな、ホウレンソウなど)、香辛野菜(ネギ、ニラなど)、根もの野菜(ニンジンなど)

<すじまきの手順>
1.土の表面にタネをまく為の深さ1cmくらいのまき溝を作ります。
※まき溝を作る道具は、手の指やかまぼこの板などなんでも構いません。
すじまき(タネをまく前)

2.タネとタネとの間隔が1cmくらいで、タネが重ならないようにまき溝にまいていきます。
タネがまき終わったら、タネに土をかぶせて、上から土を軽く押えつけ密着させます。

注意:タネが発芽するには水を吸収して呼吸を開始しなければいけないので、タネまき後はこまめに水やりをして発芽するまで土を乾燥させないようにしてください。発芽後は適切な株間となるように間引いてください。
すじまき(タネをまいた後)

2.点まきでタネを蒔く方法

点まきとは、育てる野菜の株間をあらかじめ確認して、その株間となるようにタネをまくまき穴を作って、その穴にタネをまいていく方法です。タネの大きさが大きい野菜で利用します。

  • 点まきが適している野菜:葉もの野菜(キャベツ、ハクサイなど)、実もの野菜(インゲン、エダマメ、トウモロコシなど)、根もの野菜(ダイコンなど)

<点まきの手順>
1.土の表面にタネをまく為の、深さ1cmくらいのまき穴を作ります。
※まき穴を作る道具は、手の指、びんの底、ペットボトルのキャップなどなんでも構いません。下の写真は、ペットボトルのキャップを押しつけてまき穴を作りました。
点まき(タネをまく前)

2.1つのまき穴に1~3つくらいずつタネをまきます。
※タネは重ならないようにしましょう。
点まき(タネをまいている最中)

3.タネに土をかぶせて、土を軽く押えつけてタネと土を密着させます。

注意:タネが発芽するには水を吸収して呼吸を開始しなければいけないので、タネまき後はこまめに水やりをして発芽するまで土を乾燥させないようにしてください。発芽後はまき穴1つに対して健全な個体を1本だけ残して後のものは間引いてください。
点まき(タネをまいた後)

3.ばらまきでタネを蒔く方法

ばらまきとは、タネが重ならないように均一にタネをばらまいて発芽させる方法です。すじまきと似ていますが、すじまきは細いまき溝にタネをまいていきますが、ばらまきは適当にまいていきます。

  • ばらまきが適している野菜:葉もの野菜(ミニサイズのもの)、香辛野菜(葉ネギ、ニラなど)

<ばらまきの手順>
1.土の表面が平らとなるようにならします。
(ならす道具は、手や木などなんでも構いません。)

2.タネとタネの間隔が1cmくらいとなるように、適当にばらまいた後に少し土をかぶせます。

3.タネに土をかぶせたら、上から土を軽く押えつけます。

注意:タネが発芽するには水を吸収して呼吸を開始しなければいけないので、タネまき後はこまめに水やりをして発芽するまで土を乾燥させないようにしてください。発芽後は適切な株間となるように間引いてください。
ばらまき

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2.発芽時に光を好むタネと光を嫌うタネ

野菜のタネは、発芽する為にタネに光が当たることを好む好光性種子(こうこうせいしゅし)とタネに光が当たると発芽が抑制される嫌光性種子(けんこうせいしゅし)と光は関係ない中間性種子の3種類があります。

別の言い方では、好光性種子は光発芽種子、嫌光性種子は暗発芽種子ともいわれています。

主な野菜の好光性種子と嫌光性種子は次の通りです。

  • 好光性種子:ニンジン、こまつな、キャベツ、レタス、ブロッコリー、セロリなど
  • 嫌光性種子:ナス、トマト、トウガラシ、キュウリ、カボチャ、スイカ、ネギ、タマネギ、ニラ、ダイコンなど

※好光性種子は埋める深さを浅く、嫌光性種子は埋める深さを深くしてください。

タネに被せる土の量の違いでも発芽しやすくなるかしにくくなるかが大きく影響してくるようになるので注意してタネまきを行ってください。

3.発芽を成功させるタネ蒔き時のアドバイス

タネは植物が次世代に子孫を残し命をつなぐ為の源のものです。

タネは、中心部分から、胚(幼根、胚軸、幼芽、子葉)、胚乳、種皮で構成されていて、発芽できる環境になるのを首を長くして待っています。

  • 胚:根、茎、本葉、双葉になるところ
  • 胚乳:発芽する為の栄養分(炭水化物、タンパク質、脂質など)が蓄えられているところ
  • 種皮:タネを覆っている外側の硬い皮のこと

※胚乳がない野菜のタネもあります。胚乳がないタネは子葉に栄養分が蓄えられています。

発芽の条件が揃うと子孫が残せるチャンスがきたことを察知して簡単に発芽しますが、発芽の条件が揃わない時は全く発芽しないという性質を持っています。

タネをまいたけどなかなか発芽しないという方は、発芽する為の条件の何かが足りない状況です。次で説明することを行って発芽しやすい対策を行ってください。

  1. 表皮が固いタネ(インゲン、エダマメ、オクラ、ホウレンソウなど)は、水に1晩ひたした後にまくと発芽しやすくなります。
  2. タネをまく前に土を軽く押さえつけてください。
    タネをまいた後も土をかぶせて軽く押さえつけてください。
    タネと土を密着させると発芽しやすくなります。
  3. タネに土をかぶせる高さは、目安としてタネの高さの2倍程度にしてください。
    それより高いと発芽しにくくなります。
  4. 土の表面が乾いたら水をたっぷり与えます。
    (コンテナの場合は、底から水が出てくる程度水を与えてください。)
    発芽するまで土を乾燥させないことが重要です。
  5. 不織布、新聞紙、わらなどを土の上にかぶせます。
    土の乾燥防止や保温効果があり、タネが発芽できる環境を整えます。
  6. タネの発芽適温にして育ててください。
    発芽適温はタネ袋に書かれています。温度が大きく外れていると発芽しません。
  7. 発芽するまでだいたい3~14日くらいかかりますので気長に待ってください。
    あまりにも発芽するのに日数がかかっていたら、発芽適温に達していない、又はタネが腐っている可能性がありますので、タネの発芽適温の環境を作って再チャレンジしてください。

このように、タネが発芽する条件は、水分、温度、タネを埋めた深さが関係してきます。その他には呼吸する為の空気(酸素)も関係しています。どれか1つでも欠けるとタネは腐ってしまい発芽しませんので、それぞれの条件がバランスよくタネに供給できるようにしてください。

↓タネが根を出しましたが腐っている状態↓
タネが腐っている

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