ビニールポット・プラグトレーで野菜のタネまきの方法

1.野菜のタネの直まき栽培と移植栽培

野菜のタネまきの方法には、すじまき(条まき)、点まき、ばらまきなどがありますが、タネはどんな環境で育てれば発芽しやすいのか考えてみましょう。

タネをまいて発芽させて育てる環境は主に次の2種類があります。

1つ目のタネまきの方法は、タネを直接プランターや耕した庭の土にまいて発芽させて生育させる直まき栽培です。
※直まき栽培は、葉もの野菜(こまつな、ニラ、葉ネギなど)、根もの野菜(大根、ニンジン)、香辛野菜(シソ、ショウガ)に適しています。

耕した庭やプランターへ直接タネをまく方法については、こちらを見てください。

2つ目のタネまきの方法は、タネをビニールポットプラグトレーにまいてタネを発芽させて、そして、本葉が数枚出てくるまで育苗させた苗をプランターや庭に植え替える移植栽培です。
※移植栽培は実もの野菜に適しています。

野菜栽培は、直まき栽培でも移植栽培でもどちらでも構いませんが、一般的には、ナス、キュウリ、トマト、ピーマン、スイカ、メロン、カボチャ、キャベツ、ハクサイ、タマネギなどは移植栽培が用いられます。インゲン、エダマメ、トウモロコシはどちらの栽培方法でも構いません。

どうして移植栽培を行うのかというと、気温が低くてタネが発芽しない、発芽後に若苗が虫に食べられたり病気に掛かる、生長が悪く収穫が見込めないという状況を回避できるからです。但し、育苗した後に定植する手間が掛かります。

育てた野菜の苗を結局はプランターや庭に植え付けるのなら直接育てた方が手間が掛からないと思われますが、野菜栽培は苗半作といわれていて苗を別の場所で作ってから健全な苗だけをプランターや庭に植え付けた方が収穫ができないという失敗が少ないのです。

その時の育てる野菜の種類や屋外の気温などの状況に応じてどちらのタネまきの方法にするのか決めてください。

ビニールポット・プラグトレーとは何ですか?

ビニールポットやプラグトレーとは移植栽培をする時に使い、タネをまいて発芽させ庭やプランターへ定植するまで生育する為の小型の容器のことです。

ビニールポットは、いろいろな大きさがありますが、タネまき用に使う一般的なポットの大きさは2~3号(直径6~9cm)くらいのビニール製の鉢が適しています。ビニールポットに土を入れた後にタネをまいて、タネが発芽して本葉が出てくるまで育苗します。

プラグトレー(セルトレー)とは、50穴、72穴、128穴というようにたくさんのタネをまくためのくぼみがあり、くぼみにタネまき用の用土を入れてその土の中に1つずつタネをまいて水やりをして発芽させます。

プラグトレーは、一度にたくさんのタネを大量に発芽させたい時に使います。タネを発芽させた後は、ビニールポットなどの鉢に植え替えて本葉が数枚出てくるまで育苗していきます。

ビニールポットやプラグトレーに入れる土について
タネをビニールポットやプラグトレーで育てる土は普通の野菜栽培用の培養土でも構いません。 しかし、発芽するには土の中に水分と空気が必要になるので、タネまき専用の培養土を使うと発芽しやすくなります。少しでも発芽を失敗させたくない時はタネまき専用の土を使うことをおすすめします。

それでは、タネまきに適したビニールポットと培養土の商品を紹介します。

おすすめのビニールポット

商品名:ポリポット 9cm 黒 100個

タネまき用にちょうどいい大きさの直径9cmのビニールポットです。

おすすめのタネまき用の土

商品名:プロトリーフ さし芽種まきの土 5L

園芸用品で人気があるプロトリーフのタネまき用の培養土。粒状なので発芽しやすく根が張りやすいです。

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2.ビニールポットにタネを蒔いて野菜の苗を育てる方法

ビニールポットを使ったタネから苗を育てる方法を紹介します。参考にしてコツをつかんで育ててみてください。

1.まずは、ビニールポットに培養土を入れます。1つのビニールポットにタネを2~3つくらいづつ深さ1cmくらいとなるようにまいてください。

↓1つのビニールポットの穴の直径が約6cmの連結ポットにタネをまいた状態↓
ビニールポットへタネまき

2.タネをまき終えたらタネを土で覆いかぶせて、土を軽く押さえつけた後に水をたっぷり与えてください。タネが発芽するまでは、土の表面が乾かないようにこまめに水やりを続けましょう。

注意:土が乾燥すると発芽するまでの時間が長くなるので必ず湿った状態をキープしましょう。
ビニールポットの土は発芽するまで乾燥させないこと

3.タネをまいてから大体1週間位したら発芽します。発芽後は間引きながら育てて1つのポットに苗が1本となるようにしてください。

タネが発芽するには、タネが水分を吸収して、発芽に適した温度になり、酸素が供給されてようやく発芽できる状態になります。発芽するまでは、水、温度、酸素のバランスが崩れないように発芽環境を整えましょう。特に、気温が低い季節にタネをまく時は発芽温度に達しないことが多いので温度管理は徹底して行いましょう。

発芽後は、庭やプランターへの植えつけに適した本葉の枚数や大きさになるまでは1カ月位かかります。タネが発芽するまでは、水、温度、酸素が必要ですが、発芽して根と葉が生えてからは、水、温度、光、養分が必要になるので日当たりが良い場所で育ててください。

トンネル支柱で透明なビニールを張ったり透明な容器を被せて温室の中で育苗する場合は、庭やプランターへ定植する1週間前になったら苗を温室の外に出して順化させて外気温に慣らしてください。
ビニールポットで発芽させて野菜の苗を作った状態

4.もしも、タネをまいてから2週間以上経過しても発芽しない時は、タネが腐ってドロドロになっていることが多いです。

また、タネが腐った後にハエの幼虫が寄ってきて食べていることがあるので、2週間経っても発芽しないタネは早めに処分して、土の中にハエの幼虫がいないことを確認してから新しいタネをまいてください。
※インゲンやエダマメなどのマメ科のタネは腐りやすいです。

ハエの幼虫が土の中にいる状態でタネをまくとタネ自体食べられますし、発芽しても新芽は柔らかいのでハエの幼虫に茎が食害されるので気をつけてください。
腐ってハエの幼虫に食べられたエダマメのタネ

野菜の苗を庭やプランターへ定植する時の注意事項

野菜を育てる方法は、主に、次の3種類に分かれると思います。

  • タネを庭やプランターへ直接まく
  • タネをビニールポットにまいて育ててから苗を植え付ける
  • 苗をホームセンターで購入して植え付ける

1番簡単に野菜を育てられる方法は状態が良い苗をホームセンターなどで購入して庭やプランターへ植えつける方法です。

野菜栽培は苗半作といわれていて、健全な苗を植え付けれるかどうかでその後の生育が大きく変わってきます。特に、トマト、ナス、キュウリ、ピーマンなどの実もの野菜の場合は、自分でタネから育てることは難しく野菜の苗が充実したものでないと健全な生育ができなくなるので注意してください。

野菜の苗は普通の実生苗(自根苗)の他に、病気にかかりにくい接ぎ木苗が販売されていることをご存じでしょうか。

野菜を育てている途中で苗が病気になって枯れる、実の収穫量が少ないなどの思わしくないことを防ぐには病気に強い接ぎ木苗を植え付けましょう。

3.タネを春蒔きした後に発芽しない時の対策

3月や4月のまだ気温が低い季節にタネを庭やプランターへ春まきする時は、そのまま屋外で育てても外は寒いのでタネは発芽温度に達しません。

その様な時は、ビニールポットやプラグトレーなどにタネをまいて温度が15~20℃くらいの室内で土を湿らせた状態で育てましょう。

また、表皮が固いタネ(オクラ、ホウレンソウ、エダマメ、インゲンなど)は暑さや寒さから身を守る為に野菜にとっては都合がいいですが発芽がしにくいという特徴があるので、浸漬処理(水に1晩浸す)してから、ビニールポットやプラグトレーにまくとタネが水分を吸収して柔らかくなるので発芽しやすくなります。
※タネを水に1晩浸すと表皮がかなり柔らかくなるので発芽時間が短縮できます。

浸漬処理してもなかなか発芽しない場合は、ビニールポットやプラグトレーに不織布・新聞紙やビニールなどをかけて、昼は日光がよく当たる場所、夜は室内の温かい場所で発芽環境を整えて育ててもらうと発芽しやすくなります。発芽させるコツは発芽するまでは絶対に土を乾燥させないことと発芽温度を保つことです。

↓インゲンとエダマメのタネを水に1晩浸した状態。タネから根がでてきました。↓
水に1晩浸したマメ科のタネ

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