野菜栽培の元肥の施し方

1.元肥って何ですか?

元肥の基礎知識

家庭菜園を始めると肥料の袋に元肥という用語が書かれていますよね。

元肥(もとひ・もとごえ)とは、肥料の商品の名称のことではありません。野菜栽培を始める前に土の中にあらかじめ施しておく肥料のことです。

元肥の他に追肥(ついひ・おいごえ)という言葉がありますが、追肥とは野菜の栽培中に肥料を投入することです。

つまり、元肥と追肥に使う肥料とは野菜の生長に必要な養分のことです。

野菜栽培を成功させて大きく実った野菜を収穫するには、野菜の苗の根を広く深く張らせることがポイントになります。

野菜の苗の根が土壌中にしっかり張ってくれたら夏場の土壌の乾燥に耐え、たわわに実った野菜を多収穫できる丈夫な株に育ってくれます。

野菜の苗が健全に生育するには、日光を浴びて光合成を行う他に、酸素、水分、窒素、リン酸、カリ、微量要素(鉄やホウ素など)などを根から吸収しなければなりません。

酸素は大気中にあり、水分は水やりや雨から供給できますよね。

では、窒素、リン酸、カリ、微量要素(鉄やホウ素など)といった栄養分はどのように土の中に供給すればいいのでしょうか。

それは、元肥・追肥として肥料を土の中に投入するしか方法はありません。

元肥と野菜の苗の根の間に何の関係があるのかというと、野菜の苗の根は水に溶け込んだ栄養分を求めて伸びていく性質があるので、野菜を栽培する前に元肥を土に混ぜ合わせておくと苗が生長するにしたがって根を深く広く張らせることができるようになるのです。

このように、野菜を栽培する前に土の中にあらかじめ肥料を施しておくと根は深く広く張りますし丈夫な株に生長して大きな実が収穫できるので野菜栽培時は忘れずに元肥を施す作業を行いましょう。

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2.土壌への元肥の施し方

家庭菜園をする為に耕した庭への元肥の施し方としては、全面施肥と作条施肥の2種類があります。

  • 全面施肥(ぜんめんせひ):畝の土の中に肥料を均一に混ぜ合わせる施肥の方法のことです。主に、栽培期間が短い葉もの野菜(キャベツ、ハクサイなど)を育てる時に使うことが適しています。
  • 作条施肥(さくじょうせひ):畝の中央の下側や左右の下側のみに肥料を施肥する方法のことです。主に、栽培期間が長い実もの野菜(トマト、ナスなど)を育てる時に使うことが適しています。正確には、畝の左右の下側に施す肥料を作条施肥、畝の中央の下側に施す肥料を溝施肥といいます。

※大根やニンジンは肥料に直接触れると根が二股・三股に分かれて伸びていくのでタネの直下には肥料を施さないようにしましょう。

全面施肥と作条施肥とでは肥料の効き具合が異なるので、根を深く張らせたい時は作条施肥、根を浅く張らせたい時は全面施肥、栽培期間が長い野菜は作条施肥、栽培期間が短い野菜は全面施肥というように、育てる野菜に応じて施肥方法を使い分けることが上手に野菜栽培を行う上でのコツです。

元肥で施肥する肥料の量の目安は、育てる野菜によって異なりますが1m2当たり100~200g程度です。

元肥で施肥する肥料で気をつけることは、肥料の量が少なすぎても多すぎてもダメなことです。

肥料が少なすぎる場合は根の張りが悪くなり、多すぎる場合は根が傷みやすくなります。

また、肥料が多すぎるとつるボケになって、茎と葉だけがもうもうと伸びて、カビなどの病害・アブラムシなどの害虫の被害に遭いやすい、収穫する実の味が悪い、実がつかないといった現象が現れるようになります。

なお、プランター栽培での元肥の施し方は、土全体に肥料を混ぜ合わせてください。
※新品で購入した培養土には元肥として肥料が配合されているので自分で元肥を入れなくても大丈夫です。野菜栽培に一度使った培養土は肥料成分を補う為に元肥を混ぜ合わせてから野菜栽培を始めてください。

3.元肥として使う肥料の種類

元肥とは野菜栽培を始める前に土の中にあらかじめ施しておく肥料のことでしたよね。

肥料の種類には、有機物から作った有機質肥料と化学的に合成して作った化学肥料の2種類があることをご存じでしょうか。

元肥として使う肥料には有機質肥料でも化学肥料でもどちらを使っても野菜は深く広く根を張り生長していきますが、私がおすすめする元肥に使う肥料は有機質肥料です。

どうしてかというと、化学肥料のみを使って野菜を育てると味が落ちるからです。特に化学肥料で窒素成分を大量に施すと甘みが落ちますしアブラムシが大量発生します。

また、化学肥料は素早く肥料効果が現れるという特徴があるので扱いやすく効率がいいですが、施肥した養分を一気に根が吸収してしまうので大量に投入すると根が傷みやすく健全に育たなくなります。

一方、有機質肥料は微生物に分解されながらゆっくり肥料が効くという特徴があるのでとても扱いにくいですが、根が一気に養分を吸収するということがなく根にやさしいのです。

家庭菜園で元肥として使う有機質肥料の種類には、

  • 鶏ふん:にわとりの排泄物を乾燥・発酵させたもの
  • 骨粉:豚などの骨を乾燥させ砕いたもの
  • 油かす:なたねの油などを搾った時にでたかす
  • 魚かす:イワシ、サバなどを乾燥させ砕いたもの
  • ボカシ肥:植物性や動物性の有機物をある程度発酵させたもの

などがあります。

家庭菜園の元肥で人気があるのは、価格が安い鶏ふん、肥料成分のバランスがよい骨粉入り油かす、発酵させているので扱いやすいボカシ肥の3つです。

有機質肥料を元肥に使って健康で色つやがよく糖度が高く甘みがある野菜を栽培してみてください。新品の培養土を施された場合は肥料は入っていますので元肥は投入しなくても大丈夫です。

元肥におすすめのボカシ肥

商品名:自然応用科学 おいしい野菜の肥料 2kg

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