野菜に与えた肥料が多いか少ないか考える

野菜に追肥する肥料の量の目安

野菜の肥料

耕した自宅の庭先やプランターで野菜を育てていると、ミニトマト、キュウリ、ナスの実がなかなか大きくならないとか、茎がものすごい太くなっているとか、葉っぱの色が薄くなって枯れそうだとか、このような状況になったら肥料を与えていいのかそれとも与えたらいけないのか悩みますよね。

山や野原などの自然の中に生えている、木、花、草などの植物は肥料を与えていなくてもどんどん生長していくので、庭先やプランターの家庭菜園も肥料を与えなくても植物は生長するものだと考えている方いませんか。

自然の中に生えている植物は、動物や昆虫の糞や死骸、落ち葉などの堆積物などを栄養分として生長していて、毎年新しく生まれるものがあれば死んで地表の上に堆積するものもあるので地表の上は栄養分が溢れていますよね、

一方、庭先やプランターの環境では、動物の糞や死骸、落ち葉などは取り除いてゴミとして捨ててしまうので土の栄養分は少なくなりますし、野菜が育ったら実を収穫して栄養分が詰まった実を庭先やプランターの外に持ち出してしまうので、人為的に栄養分を土に与えなければ野菜は栄養不足になって育ちません。

つまり、庭先やプランターの家庭菜園では、土の中に肥料を適度に与えなければ野菜は大きく育たず野菜栽培は成功しないということです。

もう1つ重要なことがありまして、肥料を土に施す時に覚えておいて欲しいことは、植物は土の中から根が栄養分を吸収して、その栄養分と光合成で作った糖を使って、茎、葉、根、実を大きく生長させていきますが、肥料の与えすぎは植物に良い影響をもたらさないことです。

肥料を与える時は、量と成分のバランスが重要です。適正に与えることです。

肥料は、主に、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)という、植物の体(茎、葉、根、実)を作る肥料の3要素で成り立っています。

それぞれの肥料成分の役割の説明

  • 窒素・・・葉や茎を大きくします。葉が小さい、葉が黄緑色・黄色、茎が細いなどの状態は窒素不足です。
  • リン酸・・・花や実つきを良くします。つるや枝が伸びるが花が少ない、葉の色につやがなく黒っぽい緑色・紫色になっていたらリン酸不足です。
  • カリ・・・茎や根を丈夫にします。葉の縁や葉脈の間の緑色が薄くなってきたり枯れてきたらカリ不足です。

※窒素、リン酸、カリの成分の他には、カルシウム、マグネシウムも重要な成分です。

一般的に肥料成分の窒素の量を過剰に与えすぎると、茎と葉に異常が発生しますので、大きく育つようにと良かれと思ってたくさん肥料を苗に与えてしまうと、病害虫が発生しやすい貧弱な株になり植物の生長をかえって妨げてしまうんです。その逆のパターンで肥料をケチっていると栄養分不足で植物の生長は悪くなります。

以上の説明のような、肥料過多・肥料不足の状態は病気ではなく生理障害なので、肥料の量を調整すれば健全な生長の状態に回復できます。

肥料を野菜に与える時は、植物の葉・茎の生長を観察してからにしてください。

肥料が少ない場合は肥料を与えれば解決しますが、肥料が多い場合は取り除くことは困難です。肥料は、少し少なめに与えてみて、足りないと感じたら少し多く与えるようにして、様子を見ながら育てるようにしてください。
※肥料が多いと感じた時はわき芽をたくさん伸ばして栄養分を分散させて解決しください。

ここでは、一般的にいわれていることと、私の野菜作りの経験から導きだしたことを紹介します。野菜作りで肥料を与える目安として、少しでも参考になればうれしいです。

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野菜別で肥料が多い少ないを判断する

家庭菜園で人気がある、ナス、キュウリ、ミニトマト、トウモロコシ、ピーマン、つるあり・つるなしインゲン、エダマメについて肥料が多いのか少ないのか判断する方法を紹介します。

ナス

肥料が多い場合
葉っぱの色が濃い紫色になっている時は肥料が多い状態です。
肥料が丁度良い場合
長花柱花といって、花のめしべ(中心から伸びているもの)が、おしべ(まわりから伸びている黄色いもの)より長い時は肥料は適切の状態です。今までの肥料の量で追肥していきましょう。また、ナスは水を多く好みますので実を大きく生長させるには肥料と水やりをしっかり与えてください。
ナスの花のめしべがおしべより長い(肥料が丁度良い状態)
肥料が少ない場合
短花柱花といって、花のめしべ(中心から伸びているもの)が、おしべ(まわりから伸びている黄色いもの)より短い時は肥料は少ない状態です。花や葉っぱの大きさが小さく色が薄い時は肥料が少ない状態です。このままの状態ではナスの収穫は期待できないのでただちに肥料をたっぷりと与えましょう。肥料の他に、日当たりが悪い、高温・乾燥している、実が多く成っているなどが原因のこともあります。
ナスの花のめしべがおしべより短い(肥料が少ない状態)

キュウリ

肥料が少ない、又は水分不足の場合
実が曲がる原因は、肥料が少ないか水分が少ない時に起こります。
株が弱り始めていますので、早めに生長不良の実をもぎ取って肥料と水をたっぷりと与えてください。
キュウリの実が曲がっている(肥料・水分不足)
肥料が少なく気温が高い場合
実の尻が細くなっている原因は、肥料が不足していて8月などの気温が極端に高い時に起こります。
株はだいぶ弱っていますので、他の実に栄養を送りやすくする為に生長不良の実は全部もぎ取ってください。また、株の生長を回復させる為に肥料と水をたっぷりと与えてください。
キュウリの実の尻が細い(肥料多い、又は気温が高い)
肥料が少なく日当たりが悪い場合
実の尻が太くなっている原因は、肥料が不足していて日照不足の時に起こります。
株はだいぶ弱っていますので、他の実に栄養を送りやすくする為に生長不良の実は全部もぎ取ってください。また、株の生長を回復させるために肥料と水をたっぷりと与えてください。

ミニトマト

肥料が多い場合
茎が異常(直径15mm以上)に太くなっていて、節間が広く、葉っぱが深緑色で先端が内側に丸まっている時は肥料が多い状態です。このままの追肥量で育てていくと実着きが悪くなり収穫量が減るので追肥を数日間止めて様子をみましょう。
ミニトマトの場合は茎が細くても実はミニトマトのサイズ(1玉約20g)に育ちますが、大玉トマトと中玉トマトは茎が太くないと、大玉トマト1玉200g、中玉トマト1玉40gには育ちませんので肥料を与えてください。
ミニトマトの茎が太い(肥料が多い)

トウモロコシ

肥料不足、又はミネラル不足の場合
下葉が枯れている時は窒素肥料やミネラルが少ない状態です。トウモロコシはすぐに肥料切れを起こすので肥料はたっぷり与えて水やりもしっかり与えてください。
※ミニトマトを育てる感覚でトウモロコシに追肥すると上手に育たないので気をつけましょう。
トウモロコシの下葉が枯れている(肥料・ミネラル不足)

ピーマン、カラーピーマン、シシトウ、甘トウガラシ

肥料が少ない場合
実になるところが、花が咲いてもすぐに黄色くなり枯れたり、花が咲く前に枯れる時は肥料が少ない状態です。このままの状態では、ピーマン、カラーピーマン、シシトウ、甘トウガラシの収穫は期待できないのでただちに肥料をたっぷりと与えましょう。また、シシトウや甘トウガラシは水やりが少ないと辛い個体が収穫できるようになるので水やりはしっかり行ってください。
ピーマン、カラーピーマン、シシトウの花が咲いた後の実がすぐ枯れる(肥料が少ない)

つるあり・つるなしインゲン

肥料が多い場合
さやに花が咲いてもすぐに黄色くなり枯れたり、花が咲く気配が全くない時は窒素成分の肥料が多くつるボケの状態です。このままの状態では、つるあり・つるなしインゲンの収穫は期待できないのでただちに肥料を与えることを止めてください。また、花が咲いた後はたっぷりと水を与えないとさやは生長せずに枯れてしまいますので、肥料は少なく水をたっぷり与えていることを確認してください。
つるなしインゲンの実がすぐに枯れる(肥料が多い状態)
肥料が丁度良い場合
さやがまっすぐに伸びて生長している時は肥料は適切の状態です。今までの肥料の量で追肥していきましょう。また、さやがまっすぐ伸びるにはたくさんの水が必要ですので毎日水やりをしているのかチェックしてください。
つるなしインゲンの実がまっすぐ生長する(肥料が丁度良い状態)

エダマメ

肥料が多い場合
さやに花が咲いてもすぐに黄色くなり枯れたり、花が咲く気配が全くない時は窒素成分の肥料が多くつるボケの状態です。このままの状態では、エダマメの収穫は期待できないのでただちに肥料を与えることを止めてください。また、花が咲いた後はたっぷりと水を与えないとさやの実は大きくならずに枯れてしまいますので、肥料は少なく水をたっぷり与えていることを確認してください。
エダマメの実が生長しない(肥料が多い状態)
肥料が丁度良い場合
さやの実が大きく生長している時は肥料は適切の状態です。今までの肥料の量で追肥していきましょう。また、さやの実が大きくなるにはたくさんの水が必要ですので毎日水やりをしているのかチェックしてください。
エダマメの実が生長する(肥料が丁度良い状態)

花が落花する原因

実もの野菜は花が咲いて受粉して実が大きくなって初めて収穫できる野菜なので、実を収穫するには花が受粉することが重要です。

しかしながら、実もの野菜は茎や葉が大きくなるだけで、花が咲いても実を着けずに落花してしまうことが多いですよね。

花が落花してしまう主な原因は、

  • 気温が低い
  • 実が着き過ぎている
  • 日当たりが悪い
  • 雨が多い
  • 肥料が少なく草勢が弱い
  • 高温・乾燥で草勢が弱い
  • 生育初期で草勢が強い
  • 窒素肥料を与えすぎて草勢が強い

などが考えられます。

このように、花が落花する原因はいろいろあるのでどれが原因なのか特定することは難しいですが、肥料も関係していることは確かなので肥料は多くも少なくもなく適切な量を与えるように心がけましょう。

葉や茎の生長具合で肥料の多い少ないを判断する

どのような野菜でも、葉の色や大きさ、茎の太さを見れば、肥料が多いのか少ないのかという大体の目安はわかります。野菜の葉や茎の状態を気にしていなかった方は一度注意深く観察してみることをおすすめします。

肥料が多い場合

葉っぱや茎に異常が現れる時は、主に肥料成分である窒素を過剰に与えたことが原因になります。花が咲かず実もならないのだけど、葉っぱや茎だけがどんどん大きく伸びていく時は健全に生長していない状況ですので肥料をたくさん与えていないか1度確認してください。

肥料が多い場合は、葉や茎や実に次のような症状が現れます。

  • 葉の色が深緑色
  • 葉が異常に大きい
  • 葉の先端部分が丸まっている
  • 茎が異常に太い
  • 葉柄や節間が異常に長い
  • 葉が茂りすぎている
  • 葉が下にそっている
  • 葉が波打って変形している
  • 枝先が曲がっている
  • 実つきが悪い

↓葉が縮れて変形している↓
葉が変形している(肥料多い)

↓葉が大きくなり、葉面が波打って茂りすぎている(ミニトマト)↓
葉の色が深緑、茂りすぎている(肥料多い)

↓枝先が内側に丸まって曲がっている(ミニトマト)↓
枝の先端が曲がっている(肥料多い)

↓葉の先端が丸まっている(キュウリ)↓
葉の先端部分が丸まっている(肥料多い)

肥料がちょうど良い場合

肥料が適切な時は、葉の色が緑色の状態です。野菜によっては、葉の先端がとんがっていたり、葉が全体的に適度にギザギザでとがっている時も肥料は適切な状態になります。

↓葉の先端がとがっている時は、肥料は適切です(キュウリ)↓
葉が全体的にとがっている(肥料適正)

肥料が少ない場合

肥料が少ない時は、葉の色が黄緑色や黄色の状態になっています。このような状態の時は、速効性がある液体肥料や化成肥料をすぐに与えてください。

肥料が少ない場合は、葉や実に次のような症状が現れます。

  • 葉の色が黄緑色や黄色になっている
  • 葉が枯れている
  • 葉が小さい
  • 葉が上に反りすぎている
  • 茎が細い
  • 葉柄や節間が異常に短い
  • 実つきが悪い

↓葉の色が黄緑色↓
葉が黄緑色になっている(肥料少ない)

↓葉が黄緑色で上に反りすぎている↓
葉が黄緑色で上にそっている(肥料少ない)

肥料の多い少ないを虫の数で判断する

野菜に与えた肥料の量がが多いのか少ないのかを虫で判断することもできます。一般的には、植物の栄養分が通常よりも豊富になるとアブラムシなどがどこからか寄ってくるようになるので、野菜の茎や葉についている虫を観察してみてください。

肥料が多い場合

野菜にアブラムシがたくさんいる時は、窒素成分が多い肥料を与えている可能性が考えられます。

植物は、過剰に取り込んだ栄養分を植物の体内にため込んでしまいますので、その栄養分をアブラムシが吸い出していることになります。
※アブラムシは生きていくために栄養が豊富な個体から汁を吸っているのでアブラムシが増殖するのも原理原則で考えてみれば自然の流れだと思います。

また、窒素成分を過剰に与えたことが原因でハダニが多く現れたり、葉っぱがたくさん食べられたりする傾向があります。

さらに、窒素成分が多くなると根からカルシウムが吸収できなくなるので、縁腐れ病や尻腐れ病にかかり枯れることもあります。

面倒くさいからまとめてドサッと肥料を与えるとトラブルの原因になります。野菜を健全に育てて害虫や病害トラブルを少なくする為には、アブラムシの数、葉っぱの色や形などの状態をよく確認しながら必要と思われる分だけ肥料を与えていく心がけをしてください。

窒素成分は、苗の生長の初期~中期段階に多く与える以外は量を少なめにすること、また、窒素成分が少ない肥料を使うことも失敗なく育てるには効果的な方法です。

↓肥料(窒素成分)が多すぎるので、アブラムシがびっしりくっついています↓
大量に発生したアブラムシ

↓虫に葉っぱをたくさん食べられているのも肥料(窒素成分)が多いです↓
虫に葉をたくさん食べられている(肥料多い)

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