庭を耕してサツマイモの育て方

庭先の家庭菜園(サツマイモの収穫)

広い市民農園を借りなくても自宅の庭先で家庭菜園を楽しむことができます。

庭先を使ったサツマイモの育て方を覚えて家庭菜園を始めてみませんか。

サツマイモの芋つるの植え付けに適した季節は5月です。

自宅の庭の耕し方、芋つるの購入・植え付け、追肥、収穫までのサツマイモ栽培で行う作業方法をわかりやすく解説しています。

目次

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1.サツマイモを育てる為の前準備

サツマイモの芋つるの植え付けと収穫時期

サツマイモの体への効用
エネルギー:140kcal(可食部100gあたり)
サツマイモは、熱で壊れにくいビタミンCを多く含み、カリウム、カルシウム、鉄、リンなどのミネラルが豊富、また、食物繊維も豊富に含まれている栄養価の高い野菜です。
※サツマイモの皮にも、ビタミン、ミネラル、食物繊維は豊富です。
サツマイモの中が紫色の品種はアントシアニンが多く、オレンジ色の品種はカロテンが多くどちらも抗酸化作用があります。健康に良いサツマイモですが、でんぷんなどの糖質が主成分なのでエネルギーが多い野菜でもあります。
※糖質は、脂質、タンパク質と供にエネルギー源となる栄養素のこと。
体に欠かすことができない糖質ですが、摂取しすぎると脂肪に変わり内臓周りや皮下に溜まるようになるので注意しましょう。
サツマイモを保管する時は、冷蔵庫に入れると腐りやすくなるので日が当たらない常温で保管するのがいいです。
サツマイモの基本栽培情報
難易度:簡単
野菜の分類:ヒルガオ科
日当たり:日なたが良い
栽培に適した時期:5~11月
苗の植え付け:5月(初心者の方でも簡単に育てられます。)
連作障害:特にありませんが同じ土では1年休んだ方が良い
肥料の効かせ方:栽培全期間で肥料は少なく与える
人工授粉:いらない
収穫時期:10~11月
用意する主な資材
サツマイモの芋つる:紅あずま、紅はるか、金時という品種がおすすめです
肥料:肥料成分が8-8-8の化成肥料が使いやすいです
支柱:不要

まず初めは、苗を庭に植え付ける前準備として、庭を耕して野菜作りに適した土に改良します。
こちらを参考にしてください。

自宅の庭先ではなく小さな畑で本格的に野菜を作りたいとお考えの方は、タネ、苗、道具、資材が準備されているシェア畑のご利用がおすすめです。

サツマイモの苗はこちらの楽天市場のショップからでも購入できます。

 

2.庭へ苗を植え付けます

サツマイモは、土の中に肥大したイモができるので、庭を深く耕して暖かくなりだした5月頃に日当たりのよい場所で育てれば、誰でも簡単に栽培・収穫することができます。

サツマイモを上手に育てる時の栽培ポイントとしては以下の5点です。

  • 低温を嫌うので5~6月の暖かい季節に苗を植え付けること
  • 酸性土壌を好むので苦土石灰は散布しないこと
  • 水はけが良い場所で育てること
  • 乾燥を好みますが苗の植え付け直後は根が張るまでは水をたっぷり与えて土を湿らせること
  • 窒素成分が多い肥料は与えないこと

サツマイモはどうして簡単に育てられるのかというと、土壌の栄養が少ないやせた土で育てられるからです。また、土の酸度(pH)が5.0の酸性土でも苗はすくすく育っていくので何もしなくても大丈夫です。おまけに苗に根(吸収根)が張れば水やりもほとんどしなくても育っていく環境適応能力が高い作物です。

逆に、土の中に肥料が多く含まれている場合は、サツマイモのつるはものすごく伸びますが肝心なイモができないという症状が現れるので、肥料は無理して与えないようにしましょう。また、日当たりが悪い場所で育てるとひょろひょろしたつるしか伸びずサツマイモが肥大しないことがあるので気をつけてください。

サツマイモは苗(芋つる)から育てていく野菜なので、次のように苗(芋つる)を購入してそのまま植え付けるという流れで進んでいきます。

1.苗(芋つる)を購入します

初めに行う作業は、サツマイモの苗をホームセンターなどで購入しましょう。

良い苗は、全長30cm程で緑色の葉っぱが7枚くらいついていて、茎の色が変色しておらず、茎から根(吸収根)が伸び出していないものです。もし、茎が変色して根が伸び出していたら店頭に並んでから日にちがだいぶ経っている老化苗かもしれません。

サツマイモの栽培で一番神経質になる時といえば、苗を植え付けて根(吸収根)が張り出すまでの間です。少しでも鮮度がいい苗を植え付けることで根の生育がよくなります。

サツマイモは切り口から伸びる吸収根(水や養分を吸い上げる根のこと)と節から伸びる不定根(でんぷんを蓄えてイモになる根のこと)があります。

↓安売りしていたサツマイモの苗。切り口の方の節に葉っぱがないのでよくない苗です。↓
サツマイモの苗(金時)

2.苗(芋つる)を植え付けます

次に行う作業は、購入したサツマイモの苗をしっかりと耕した庭に植え付けましょう。

苗を植え付ける方法は、次のように、水平植え、斜め植え、船底植えの3種類があります。

水平植え
深さ5cm程の穴を掘り、茎を水平にして植え付ける方法です。
斜め植え
茎の節が3節くらい埋まるように、棒などを使って穴を斜めに開けて茎を斜めに挿して植え付ける方法です。主に、マルチフィルムが土の上に被せてある時に使います。
船底植え
深さ5cmくらいの穴を掘り、植え付ける茎が船底みたいな形となるように、中央部より先端の方が浅い位置にして植え付ける方法です。

サツマイモの苗の植え付け時に気をつけることは、

  • 葉っぱは埋めないこと
  • 吸収根が発根するまで水やりを毎日すること

を行うことです。

サツマイモは、切り口から伸びた根(吸収根)にいもができるのではなく、節から伸びた根(不定根)にいもができます。埋める節が多い程いもは多く着くので、3節くらい埋めるのがちょうどいいと思います。

サツマイモの苗を植えつける時は、20cmの高さの畝を作り排水をよくして、株と株との間隔は30cm離してください。

なお、マルチフィルムは敷いても敷かなくてもどちらでも構いません。

↓庭に苗を植え付けてすぐの状態。(苗はしおれていて元気がありません)↓
サツマイモの苗を庭に植え付ける

サツマイモは酸性土でもよく育つのでpHの中和はしないでください。

元肥の肥料は土に混ぜてもいいですが、混ぜる時は少なめにしてください。苗を植え付ける1週間前に堆肥は1m2あたり1kg、肥料は有機質肥料化成肥料を1m2あたり30gくらいを目安とします。

そして、サツマイモの苗の植え付け直後は、根がしっかり張るまで水をたっぷり与えるようにしましょう。

サツマイモの苗の根が張れば水やりはほとんど必要ありません。土の表面が乾いていても気にしないでください。水やりがしたい方は、1週間で2回程度で大丈夫です。サツマイモは水を与えすぎると茎が腐って枯れることが多くあるので、他の野菜のように水やりをしないと枯れるというデリケートさはありません。過酷な環境で育てても問題ありません。

↓庭に苗を植え付けて1週間後の根が張った状態。(しおれていた苗が元気になりました)↓
庭に植え付けてから1週間経過したサツマイモの苗

3.追肥します

サツマイモは、窒素固定菌が共生していて自ら窒素肥料を作りだしており、肥料が少ない過酷な環境でもすくすく育っていくので追肥する必要はありませんが、追肥をしないと心配だという場合は、苗に根が張って順調に生長し始めた時から1カ月に1回くらいの頻度で肥料を与えます。

但し、窒素成分を多く与えると、つるボケといって、つるがどんどん伸びて立派に生長しているように見えますが、じつは土の中にはサツマイモが全然着いていない、又は着いていても細かったり小さかったりなどの状態になり、見掛け倒しで収穫ができずにシーズンが終わってしまうので注意しましょう。

追肥をするならば、リン酸とカリの成分を多く含んだ緩効性の化成肥料をうねの脇に与えるか、速効性の液体肥料を水やりの代わりに与えるのがいいでしょう。
いずれにせよ、葉が茂りすぎていたりつるが伸びすぎている状況ならば肥料は与えないことです。

追肥をする方法は、こちらを参考にしてください。

<おすすめの化成肥料>

商品名:サンアンドホープ いもの肥料 500g
説明:窒素よりも、カリ・リン酸が多く配合されている肥料なので、つるボケになりやすいサツマイモを育てるのに適しています。サツマイモは肥料を与えなくても育ちますが、肥料を与えたい方は少量にしてください。

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4.生長していきます

生長途中で特に行う作業はありませんが、適度に水やりをしていくとサツマイモは健全に大きく育っていきます。

根もの野菜は、土の中の根や茎が大きくなっていくので、生長しているのか見えなく不安になりますが、肥料の与えすぎによるつるボケ、水の与えすぎで茎が腐らない限りは順調にイモは大きくなっているので心配いりません。

サツマイモのつるが伸びすぎて困る時の対処法

夏はつるボケになっていなくてもつるがどんどん伸びていきます。

つるが伸び過ぎて他の野菜の生育の邪魔になる時は、つる返しといって邪魔になるつるを持ち上げて土から根(不定根)をはがしてつるを丸めて裏返してください。それでもつるが茂りすぎている時はつるの先端を切ってください。また、地面につるの節が着いていたら節から根(不定根)が伸びて栄養を蓄えて余計につるが伸びていくようになるので注意しましょう。

マルチフィルムをしていない状況でつる返しをした時は同時に土寄せもしましょう。

↓サツマイモのつるの節から根が伸びた状況。地面に接触していると栄養分を吸収してつるがどんどん伸びていきます。↓
サツマイモの節から伸びた根

↓つる返しして節から伸びた根を地面からはがした状態。↓
サツマイモの苗のつる返し

5.サツマイモの害虫被害

サツマイモは害虫被害が多い作物です。

サツマイモを育てていると、緑色だった葉っぱが白色に変色していたり、葉っぱが食べられていたりしていた経験はありませんか?

それは、カメムシの仲間のアワダチソウグンバイが葉っぱから汁を吸っていて、いも虫のイモキバガが葉っぱを食べているからです。

その他の害虫としては、オンブバッタやエビガラスズメなども葉っぱを食べているので見つけ次第駆除してください。

↓サツマイモの汁を吸って葉っぱを白色にして害を与えるアワダチソウグンバイ↓
アワダチソウグンバイ

↓サツマイモの葉を食害するイモキバガ↓
イモキバガ

↓サツマイモの葉を食害するオンブバッタ↓
オンブバッタ

↓サツマイモの葉を食害するエビガラスズメ↓
エビガラスズメ

6.収穫します

サツマイモは、苗の植え付けから収穫までの期間は5カ月くらい掛かり、葉っぱが枯れ始める10~11月が収穫適期となります。

土の中にイモができているのかは掘ってみないことにはわかりませんので、10月になったら試しに1株をスコップで掘り起こしてください。

サツマイモは11月末までが収穫適期ですが、遅くても霜が降りる前までに収穫を終わらせないと味が落ちるので気をつけてください。美味しく召し上がるコツとしては、収穫した後は日陰で3週間程追熟させると水分が蒸発して甘味が増します。

サツマイモを保管する場所ですが、サツマイモは寒さに弱いので冷蔵庫に入れるのではなく、日が当たらない場所で常温保管が適しています。

サツマイモはとても育てやすいと思うので興味を持った方は是非栽培してみてください。

↓葉っぱが枯れ出したら収穫時期です。↓
葉っぱが枯れ出したらサツマイモの収穫時期

↓土を掘ってみると根が肥大して大きなサツマイモに生長していました。↓
サツマイモの掘り出し

↓甘くて美味しいサツマイモが収穫できます。数週間置いて追熟させるとさらに美味しくなります。↓
サツマイモの収穫

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